Z世代がハマる"想定外"の仕掛け≪レンガケーキ、マグマASMR動画…≫大人には見えない価値とは?
また、コロナの影響や高音質の映像の普及により、家にいてもキャンプの疑似体験ができるような没入感の高いコンテンツになっていた。
しかし、いまでは自由に外を出歩けるようになり、従来のASMR動画が飽和状態になっている。そこでZ世代が新たに関心を寄せたのが、聴覚の刺激だけでなく感情の変化を体験できる、マグマASMRなのではないだろうか。
人間の常識を超えたAI特有のおかしさ
事例③AIが考える●●系YouTuber

「AIが考えるYouTuber」は、TikTokやYouTubeショートで注目を集める新しい動画ジャンルだ。名前のとおり、企画立案から編集、キャラクターの動きや会話に至るまで、全てをAIがになっている。
一見すると普通の動画に見えるが、見進めるうちにじわじわと違和感を覚えるようになる。会話が微妙にかみ合わなかったり、現実ではありえない展開が突然訪れたりと、AI特有のおかしさがちりばめられているのだ。このズレが、なぜかクセになる。
日常的に膨大なコンテンツに触れている私たちは、笑いのパターンや企画の流れを、無意識のうちに読み取ってしまう。だが、AIが作る映像には、そうした人間の常識を超えた意外性がある。
整合性が崩れた会話、不自然な動き。それらが逆に新鮮で、退屈しがちな日常に小さな刺激を与えてくれるのだ。
実際、このジャンルの動画には100万回を超える再生数を誇るものも少なくない。情報があふれ、何でも予測できる時代だからこそ、人は“読めないもの”に価値を見いだしている。AIが生み出す世界は、その欲求を満たす新しいエンタメとして広がり続けている。
これからの社会では、“予想外”が持つ価値はもっと高まっていくはずだ。情報が溢れ、効率が極限まで高まった世界では、正確さやスピードは当たり前になる。と同時に、人々はその分「意外性」を強く求めるようになるだろう。
これまでは「便利だから」「役立つから」という基準で選ばれていたが、これからは「驚きがあるか」「想定を超えてくるか」も大きな判断材料になるかもしれない。
企業やブランドにとっても、それは大きな変化だ。安全で無難なものを作るだけでは、人の記憶に残らない。ちょっとした“違和感”や“裏切り”を仕掛けられる企業こそが選ばれるようになるだろう。
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