夫婦でも親子でも姉妹でも名字が異なる“別姓ファミリー”として歩んで14年。「保守的な両親」も認めた行政書士カップルの”事実婚”のやり方
「法律婚では、民法で定められたさまざまな権利義務が発生します。例えば、どちらかが病気になったときは看病をしたり、一緒に子育てをしたり、お互いに経済的、精神的に支え合う“協力・扶助義務”。また、夫婦のどちらかが亡くなったときに配偶者が相続する権利など。これらを1つ1つ条文にして契約書に落とし込み、お互いに約束することにしました」(水口さん)
水口さんの両親は、少し心配そうではあったものの強い反対はなかった。のちに顔合わせや、挙式を経て両家の交流が始まると、実際に相手の人となりを知っていくことで、両親の不安は解消されていったという。
子どもはどちらの姓に?結婚前からの取り決め
結婚後、「公共の場で、相手の姓で呼ばれたことで結婚の実感が湧いた」という経験談を聞くことがある。別姓を選んだお二人は、どんなときに夫婦になった実感を得たのか。
「うちの両親は、“同棲なんてとんでもない”というタイプだったので、結婚式の前日まで私は実家で生活していたんです。式を終えて初めて二人の家に帰ったとき、『ここから夫婦としての生活が始まるんだ』と実感しました」(橘さん)
「僕も同じで、二人での生活が始まって毎日一緒に晩御飯を食べるようになり、『夫婦になったんだな』と感じましたね」(水口さん)
そして2013年1月に長女が誕生、2015年1月に次女が誕生した。
「契約書では、まず第一子は橘の姓を名乗らせ、私が親権者になることを結婚前に決めていました。第二子以降は、その都度話し合って決めることにしていました。
第一子は予定通り私の戸籍に入り、第二子の妊娠がわかったとき相談をして、『次は水口かな』と。そこは、二人とも同じ気持ちでしたね。第二子は法律上、生まれてから一度私の戸籍に入るのですが、そのあと養子縁組をして水口の戸籍に移動し、姓も水口になっています。
名付けについては、姓と合わせたときの画数を考慮したり、下の子に関しては姉の名前と関連したイメージの名前にしました」(橘さん)
夫と第一子の姓が違うことに対して「特に違和感はなかった」という橘さん。水口さんはどう感じたのか。
「家の中では名字で呼び合うことがないので、特に姓の違いを意識したことはありません。私自身がそう感じていたので、第二子の姓を水口にしたときも、妻が違和感を持つことはないだろうと思いました」
後編『学校や病院ではどう対応?夫婦・親子・姉妹で名字が違う“別姓ファミリー”の暮らしのリアル。”事実婚”後14年経った現在の心境も聞いた』では、夫婦・親子・姉妹別姓ファミリーとして暮らす橘・水口一家の日常について聞いた。
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