


「家いちば」に掲載されたカーサ・ビアンカを見て投資家を中心に40人ほどが問い合わせをしてきた。
アトリエほどではないにせよ、こちらも1970年築と古く、レトロな趣きがあり、各種撮影などに使われてきた。最近では2024年の日産90周年ムービーに登場しており、古い建物好きならご存知かもしれない。

だが、築年数が古いことから銀行の融資は受けられず、個人の投資家では買えない。そうこうしているうちに「家いちば」を見て現地を見に来たのが最終的にアトリエを継承することになった株式会社キーマンの片山寿夫さんだ。
同社は大阪に本社があり、RC造の建築物の耐震補強を専門に手掛ける"建てない"建設会社。
近年は単に耐震補強するだけでなく、再生した建物を活用する事業にも乗り出しており、2023年に手掛けた神保町にある古ビルを利用したシェア型複合施設「REDO JIMBOCHO(リド神保町)」は2024年のグッドデザイン・ベスト100に選ばれている。
「神保町のプロジェクトが終わった後、他にも旧耐震の物件を再生したいと『家いちば』を見たらトップにあったのがカーサ・ビアンカ。そこで現地を見に来たら、それ以上に魅力的な物件がある。すぐに買いたいと金額を提示しつつ申し出ました」(片山さん)
15年後に結実した願い
最終的に同社がアトリエとカーサ・ビアンカを取得したのは、愛子さんと弟との話し合いがついた後の2024年7月。愛子さんが最初に残したいと思い始めた時からでいうと約15年後。長い長い道のりだった。
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