「1分で600個の卵割る」海外人気も高まる“キユーピー マヨネーズ”100周年の製造現場
実は、「キユーピー マヨネーズ」は、気づかれないよう少しずつ、時代のニーズに合わせて変えているという。地道な改良と普及の努力が、マヨネーズを単なる“油のソース”から、日本の食卓に根ざす調味料へと押し上げていったのだろう。マヨネーズの売上高は順調に推移しており、2024年度には1071億円に達した。
高い人気を誇る工場見学
キユーピーの品質と味を支える重要拠点のひとつが、1972年に操業を開始した五霞工場だ。JR「栗橋駅」からタクシーで15分ほど。利根川と江戸川にはさまれた広大な敷地には、マヨネーズやドレッシング、割卵などの製造ラインが整備されている。

一般向けに「オープンキッチン」として工場見学も実施しており(無料・要予約)、幅広い世代に高い人気を誇る。2025年7月現在、夏休みの予約もすでに満員という盛況ぶりだ。
見学の目玉となるのが、キユーピーの代名詞ともいえる割卵工程だ。1分間に600個の卵を自動で割り、白身と黄身を正確に分離する専用機は、他ではなかなか見ることのできないスケールとスピードを誇る。

「割卵工程も昔はすべて手作業でした。1980年代の機械改良を経て、現在のような高速かつ高精度の処理が可能になりました」
卵はすべて契約農場から毎日届けられ、割卵もしくは加工される。工場内は常に室温が低温に保たれ、卵黄は61℃で3.5分以上の加熱殺菌を行うなど、衛生管理も徹底している。

割卵されて分けられた卵黄はマヨネーズ製造へと引き継がれ、赤いキャップのボトルがラインを流れていく。製造ラインの後半は充填から密封、包装までが自動化されており、見学者が驚くほど人の姿が見えない。

一方で、原料の計量や調合といった工程は、商品ごとの調整が必要なため、依然として人の手による作業が中心だ。段ボールやキャップといった資材搬送には無人搬送車を導入し、安全かつ効率的な搬送を実現している。
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