「カフェに座れない時代」なのに一人負けのサンマルク。スタバもタリーズもコメダも好調の中で「4年で4分の1が消滅」。要因はどこにある?
名物は「チョコクロ」というチョコレート味の小さなクロワッサン。これを目当てにサンマルクカフェに行く人も多いだろう。チョコクロを含めたパンは店内で焼いていて、その焼きたてパンが売りの1つでもある。同社はかつてパンの製造業も営んでおり、その流れを汲んでいる。
そんなサンマルクカフェだが、店舗数が減っているのだ。
どれほどまでに減ったのか? コロナ禍以後の店舗数の推移を見てみると、2021年3月時点で374あった店舗は2025年3月時点で285店舗になっている。コロナ禍以後だけで、実に25%の店舗が消滅している。「大量閉店」といっても差し支えないだろう。
かつては、スターバックス、ドトール、コメダ珈琲店、タリーズに継ぐ店舗数を誇っていたが、現在では星乃珈琲店に数を抜かされてしまった。
サンマルクカフェ、苦難の10年
この大量閉店は、いったいなぜ起こっているのか。
大きな理由としてあげられるのが「不採算店舗の縮小」である。そもそも、サンマルクHDはコロナ禍前から経営不振に苦しんでいた。2017年3月期までは4年連続で最高純利益を更新するなど絶好調だったのだが、それ以後は徐々に経営が傾いていった。
そもそも、サンマルクHDは絶好調だった2015~16年にかけて、店舗数を一気に増加させていた。1年に100店舗近い店舗が増えていたのである(サンマルクカフェ単体で20店舗程度)。「店舗急拡大による経営状態の悪化」は、チェーン飲食店ではよく見られるが、まさにその状態に陥っていた。
特に都心部を中心に店舗を広げるサンマルクカフェは郊外などに比べて相対的に賃料が高く、それも経営状況を圧迫していたに違いない。
さらにその裏側には、2017年から創業者である片山直之氏が病気療養のために経営の一線を退いたこともあるといわれている。その翌年の2018年、療養の甲斐虚しく片山氏は死去してしまう。
そこを襲ったのが、コロナ禍だ。飲食業全体が大きなダメージを負ったわけだが、サンマルクHDの場合は折からの経営不振も災いして、その影響はあまりにも大きかった。
実際に業績はどう推移したか。本業でのもうけを表す営業利益の推移を見ていこう。
最高純利益を記録していた2017年3月期では営業利益が77億円だったのに対し、2018年3月期は前年よりも10億円減った67億円、さらにその2年後の2020年3月期には41億円まで落ち込んでしまう。
そしてコロナ禍真っ只中の、2021年3月期の営業利益はマイナス40億円、さらにその翌年2022年3月期ではマイナス35億円という大幅な赤字が続いたのである。
2010年代以降、ありとあらゆる悪要因がサンマルクを襲ったのである。

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