なぜか離れていく若い部下たち…原因は上司の話し方? 《 若手がすぐ辞める》職場で上司が「忘れている」話し方の盲点
金融機関のE課長は「リーダーシップ研修」で「もっと部下の話を聞いてください。傾聴が大事です」と講師に言われてから、傾聴スキルを磨いてきた。
部下の話をじっくり聞き、心に寄り添うことを欠かさなかったE課長。しかし部下となった新人のFさんは、自立心の強いタイプだった。自分で考え、自分で決めることを好んだのだ。
それなのにE課長は、Fさんに会うたびに「悩みはない? 不安はない? 何でも話していいんだよ」と声をかけた。当然、Fさんは「大丈夫です」と取り合わなかったが、E課長は引き下がらない。
「本当に? 新人は誰でも悩むものだよ」
「いえ、本当に大丈夫です」
「遠慮しないで。私は君の味方だから」
Fさんは必要なときだけサポートを求めるタイプなのに、E課長は「新人のときは、自分から上司に相談できないはずだ」と決めつけ、「相談して」「不安な点を教えて」「何でもいいから言いなよ」と迫った。
さすがに、うんざりしたのだろう。Fさんは2カ月で転職を決めた。
話し方には「相性」があることを覚えよう!
これらの上司に共通するのは、自分が学んだ「話し方」に固執したことだ。自分視点から抜け出せなかったのだ。
データや論理を好む人もいれば、感情や直感を大切にする人もいる。すぐに行動したい人もいれば、じっくり考えたい人もいる。密なコミュニケーションを求める人もいれば、適度な距離感を好む人もいるのだ。
新刊『わかりやすさよりも大切な話し方』にも書いた通り、話し方には「相性」がある。この多様性を無視して、自分視点で話そうとすれば、相手の心は離れていく。
スキルを磨く必要はない。相手のタイプに合わせた話し方をマスターし、実践していけばいい。そうすれば、ストレスを感じることなく相手を「動かす」ことができるようになっていくだろう。
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