男の子の育児には、もっと「父の力」が必要だ 「しからない育児」には限界がある
では、そのズレに対する意識を少し変えてみませんか? ズレとは、こちらの予想と違う、あるいは予想以上の言動をされること。そんなズレを矯正するのではなく、あるがままに受け入れて、その違いをぜひ楽しんでほしいのです。
男の子の育児を楽しんでいるお母さんたちからは、こんなフレーズが聞こえてきます。
「そこがうちの子のいいところ」
「男の子ってそういうもの」
「わからないからおもしろい!」
そう言えるようになるまでには、気持ちの切り替えやあきらめの境地も必要だったでしょう。でも、そんなお母さんたちは、みんなどこか楽しそう。次にどんな予想外のことをしでかしてくれるのか? それを楽しむのが、お母さんにとっての男子育児の醍醐味といえるのではないでしょうか。
夫婦でする子育ての意味
最後に、お父さんが育児にかかわる意味について、お話したいと思います。
今、「しからない」育児というのがちょっとしたブームで、お父さんお母さんの双方が「優しいママ」となっているケースが増えています。
仮に、子どもが落ちている石を口に入れようとしたとします。極端なことをいえば、なんでも許容していたのでは、それすらも認めてしまうことになります。
そこで必要なのが「父性」という力です。父性は、「してはいけない行動がある」「言ってはいけない言葉がある」「この社会にはルールがある」といったことを伝える役割を担っています。先ほどの落ちている石を口に運ぼうとする子どもに、「食べちゃダメ!」「それはバッチィよ」などと行動をやめさせるのは、父性による力です(父性はお父さんだけにあるわけではなく、お母さんが担ってもいいわけです)。
母性も父性も一方だけではなく、両方の力がバランスよく必要なのです。
たとえば、お母さんひとりでは、与えられる選択肢は少なく、またパターン化しがちです。それが、お父さんが加われば、遊び方や声のかけ方、抱っこの仕方、褒め方、しかり方などが単純に2 倍になります。お父さんの野太い声、ごつごつとした手、広い背中など、ママとは違うものに触れ合うことは、実は子どもの成長には大切なことです。
最近は、シングルマザー、シングルファーザーの家庭も増えています。シングルでの子育てが難しいのは、ひとりで「許容する役と止める役」、あるいは「褒め役としかり役」をこなさないといけない点です。これは、かなりしんどいです。だからこそ、周囲の人たちの手を借りてほしいと思います。
これはどの家庭の子どもにもいえることで、周囲の人たち、たとえば、おじいさん、おばあさん、親戚、近所の人、大きいお友達、園の先生、保育士、児童館など育児支援センターのスタッフといった人たちに協力してもらえると、なおいいですね。
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