それ「ロジカルシンキングごっこ」では?自称ロジカルな人がハマる論理思考「4つの罠」【前編】

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今回は、多くの人が無意識にハマってしまう「ありがちな思考の罠」を4つの病に分類してご紹介します。まずは【前編】として、特に陥りやすい2つの“病”から見ていきましょう。

フレームワークにとらわれていると見落としが生じる

罠1:フレームワークに頼りすぎる「思考のアウトソース」病
症状:問題に直面すると、反射的にPCを開き、パワーポイントに3CやSWOTの箱を描き始める。各項目を埋める作業に没頭し、型に当てはめて整理できたことで「考えた」と満足してしまう。思考のプロセスを、既存の“型”に外注(アウトソース)している状態。

たとえば、こんな問いが出されたら、あなたはどう答えますか?

とある温泉旅館チェーンX社は、ここ3年ほど売り上げが減少している。客単価はあまり変化せず、客数が減っていることがわかっている。客数減少の要因を特定するために、どのような調査・検証が必要か?

この問いに対し、思考訓練を積んだ人ほど「市場分析だな。よし、3Cを使おう」と考えます。そして「ありがちな回答」として、以下のように要因を整理します。

市場:景気の悪化で旅行需要が減ったのでは?/温泉旅行以外のタイプの旅行が人気になっているのでは?
自社:旅館の設備の魅力が落ちたのでは?/食事や接客が悪いのでは?/価格が高いのでは?
競合:自社と比較して、競合の旅館が相対的に魅力を上げているのでは?

一見、網羅的でロジカルな分析に見えます。しかし、この回答には、抜け落ちている視点があます。あなたは何が抜けているか、お気づきでしょうか?

実は、抜け落ちている視点はいくつもあります。すべてを網羅するにはスペースが足りませんので、ここでは代表的な点をご紹介しましょう。

さきほどの分析で見落とされているのは、「温泉地そのものの魅力低下」という視点です。いくら旅館単体の魅力が高くても、その旅館が立地している「箱根」や「熱海」といった「温泉地」自体の人気が落ちていれば、客足は遠のいてしまいます。

なぜ、この極めて重要な視点を見落としてしまうのか。それは、3Cなどのフレームワークが、さまざまな分野に広く適用できるよう「一般化された視点・切り口」だからです。それに頼りすぎると、思考が抽象的になり、「温泉旅行」という問いに特有の具体的な論点を見失うリスクが高まります。

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