東京の「再開発計画」は五輪後まで目白押しだ 10年後、東京の景観は一変する

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2つめの「渋谷駅地区道玄坂街区再開発」では、18階建てのビルを新設し、その1階には国際空港へのダイレクトアクセスを可能にする空港リムジンバス発着場を含むバスターミナルとともに、国内外の来街者をターゲットとした観光支援施設を整備し、都市型観光拠点としての機能を高めます。また、クリエイティブ・コンテンツ産業等の起業家や日本に進出する外国企業等を対象に小規模オフィスを提供し、産業進出を支援します。緑豊かな屋上庭園と飲食店舗も併設することで、知的創造性を刺激する空間づくりを目指しています。

3つめの「渋谷駅桜丘口地区再開発」では、新たに4棟のビルの建設が計画されています。そこでは、居住者、外国人ビジネスマンの生活を支援するため、健康管理機能等を有する国際医療施設や、国内外のビジネスマンの短中期滞在に対応したサービスアパートメント、未就学児を対象とした子育て支援施設等を整備します。これらの施設は多言語での対応を可能にすることで、まちの国際競争力の強化を図ります。

最後に、「渋谷駅南街区プロジェクト」では、現在は水流の止まっている渋谷川に、清流復活水を活用した「壁泉」とよばれる水景施設を整備します。それとともに、稲荷橋下流側に「渋谷三丁目のゲートとなる広場」、金王橋上流側に「渋谷三丁目のシンボルとなる広場」という、計2カ所の広場を整備します。また、約600メートルにわたる緑の遊歩道を整備し、ツタなどによる護岸緑化、高木の並木による緑と水のネットワークを形成します。視覚的にも聴覚的にも、賑わいと潤いのある良好な水辺空間が誕生することになります。

ライバル都市との激しい競争が続く

これまで見てきた3つのエリア以外にも、日本橋や品川周辺でも大規模な開発が進行中であり、2025年頃までに東京都心部も大きな変貌を遂げていきます。仮に、東京以外の世界の都市にはこれ以上何も変化が起こらないと仮定すると、世界の都市総合力ランキング(GPCI)において東京が1位になる可能性もあるかもしれません。

しかし、現実には国際的な都市間競争の時代においては、他のライバル都市も常に長期的な戦略を描きながら、ハード・ソフト両面において都市の競争力をますます高め続けています。ヒト・モノ・カネという限りあるリソースを、都市間の相対的な力関係の中でいかに惹きつけていくか。東京は、その戦略と実行力を真に問われているのです。

市川 宏雄 明治大学名誉教授

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いちかわ ひろお / Ichikawa Hiroo

明治大学名誉教授/帝京大学特任教授/一般社団法人 大都市政策研究機構・理事長/特定非営利活動法人 日本危機管理士機構・理事長。

1947年東京都生まれ。早稲田大学理工学部建築学科、同大学院修士課程、博士課程(都市計画)を経て、ウォータールー大学大学院博士課程(都市地域計画)を修了。1997年、明治大学政治経済学部教授に就任。専門は都市政策、危機管理、テレワーク、次世代政策構想。「世界の都市総合力ランキング(GPCI、森記念財団)」主査。『東京一極集中が日本を救う』(ディスカヴァー携書)、『東京2025』(東洋経済新報社)、『山手線に新駅ができる本当の理由』(KADOKAWAメディアファクトリー新書)など著書多数。

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