東京の「再開発計画」は五輪後まで目白押しだ 10年後、東京の景観は一変する

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「虎ノ門病院周辺再開発(虎ノ門二丁目地区再開発事業)」は、地区内の虎の門病院、国立印刷局(本局・虎の門工場)および共同通信会館が、いずれも老朽化により機能更新が必要となっているため、いずれの建物も取り壊され、跡地に19階建ての新虎ノ門病院と36階建ての業務棟が建設されます。もともと、この地区周辺の地形は起伏が大きく、歩行者空間も不足しており、歩行者の安全性、快適性が十分に確保されていないなどの多くの課題を抱えています。

そこで、ビルの建設と合わせて、安全で快適な歩行者ネットワークを形成するなど、地区内外における交通ネットワークの充実・強化も図ります。これにより、国際水準の医療サービスを提供すると同時に、外国人ビジネスマンやその家族への業務支援機能や生活支援機能も整います。また災害時には、都内最高レベルの治療・収容拠点となることが期待されています。

当エリアでは、新たなインフラ整備が行われます。それが、「東京メトロ日比谷線霞ケ関駅~神谷町駅間の新駅整備」です。虎ノ門ヒルズの西側に、2020年の東京五輪開催までに、東京メトロ日比谷線の新駅を供用開始(新駅の最終完成は2020年度を予定)することを目指して進められています。バスターミナルも設置される予定で、たとえば赤坂・虎ノ門エリアから羽田空港へ向かう場合、BRT(バス高速輸送システム)で環状2号線を経由し、その後、首都高速湾岸線を通って行くことも可能になります。

五輪開催中、虎ノ門は各競技会場と都心各地とを結ぶ「ハブ」になることが期待されますが、交通結節機能の強化により、五輪開催後も生活環境を備えた国際的なビジネス・交流拠点としての役割を担うことも期待されています。

渋谷エリア

多くの若者で賑わう渋谷エリアも、ダイナミックな変化を遂げつつあります。JR、東急電鉄、京王電鉄、東京メトロの4社8線が乗り入れる渋谷駅は、日本有数の乗降客数を有する駅ですが、その駅と周辺の街区では、主に4つのエリアに分かれて再開発が進行中です。2027年までには駅と周辺が回廊で結ばれた、回遊性の高い都市空間が創出される予定になっています。

1つめの「渋谷駅街区開発計画」では、新設される3棟のビルと東西駅前広場をつなぐ多層の歩行者ネットワークが整備されます。また、3階のJR線・銀座線改札と道玄坂方面をつなぐデッキを整備し、東口にはエレベーターやエスカレーターによって歩行者の縦移動を容易にする「アーバン・コア」を新設し、歩行者の利便性を高めます。

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