穏やかで柔らかな口調の彼女は、話していると不思議と心が和らぐような人柄の持ち主だった。決して華やかではないけれど、真面目で誠実な印象を与える女性だった。
入会面談の際には、結婚についてこんなふうに話していた。
「お相手は、真面目に仕事をしている40代の方を希望します。子どもを望む気持ちもありますが、私の年齢からして “子どもが絶対!”という方は、難しい気がします」
そのほかには、年収や学歴、見た目に強いこだわりがあるわけではない。自分自身が特別条件の良い立場ではないことも十分に理解していたし、孤独の中にいて、「一緒にいて心が安らげる人」との、ささやかな幸せを願っていた。
しかし、サイトに登録してみると、申し込みが入るのは、ほとんどが50代だった。40代後半の男性もいたのだが、離婚経験者で、妻側に子どもがいる男性も少なくなかった。
まさえ自身、すでに子どものいる男性との結婚には少し抵抗があったようだ。たとえ元妻側で子どもを育てていたとしても、「子どもとの関わりは消えないと思うから」と言っていた。
結果として、ここにもまさえの44歳という年齢が、大きな壁として立ちはだかっていた。
もう1つの理由は、まさえ自身がとても慎重な性格で、相手に対して「嫌なところがないか」をじっくり観察してしまうので、なかなか交際を前に進めることができなかった。
まさえのようなタイプも、アラフォー女性には多く、婚活において“見えにくい壁”と静かに闘い、成婚という成果を出せずにいる。
「結婚」とは何かを考えてみる
しかし、ここで「だから、結婚は無理」「結婚離れが起こって当然」という結論には達してほしくない。
実際、婚活が難しいといわれる年代の女性、男性たちの中には、成婚をしている人たちもいる。その多くが、あきらめずに出会い続けた人たちだ。そして、相手の人柄を気に入って、条件や理想の幅を広げた人たちだ。
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