あのゴディバが密かに抱えていた《重大課題》。「ギフト市場の縮小」「暖冬」「日常使いしづらい」…他には? そして打ち出した打開策の実態

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縮小

2つめは、気候変動の影響である。取材をした2025年6月、その月の日本の平均気温は過去最高を記録。気温における「夏」が長くなっているのに伴い、「溶ける」チョコレートのベストシーズンである秋冬は、1カ月以上短くなっている。

ブランド力の強さが、逆に課題を生んだ

さらに、これら2つの市場変化への対応を考える中で、同社はより本質的な課題に直面する。それが「ブランドイメージの強さ」だ。

1972年の日本上陸から53年、ゴディバという名前は高級チョコレートの代名詞として、確固たる地位を築いている。しかし、それは変化という意味ではマイナスに働いた。

若い世代に日常使いを提案しようにも、「特別な日のための高級チョコレート」という認識は、簡単には変えられないのだ。

購買機会の問題もあった。ビジネスとして成長するには従来のギフト需要よりも、購買頻度を上げる必要がある。だが、単純に「普段使いのゴディバ」と言っても、ブランドイメージとの乖離が生じてしまう。

粒チョコレートのギフト
ゴディバと聞いて連想しやすい粒チョコレートのギフト(写真提供:ゴディバ)

ブランドイメージを守りながら市場の変化に対応するため、いわば「別人格」の創造が必要だったのだ。

加えて、チョコレートという商品カテゴリーの制約もあった。夏より秋冬のほうが需要が高いのだ。通年で安定した売り上げを作るには、別カテゴリーの商品への挑戦が必要となる。

ゴディバでは、チョコレートドリンクのショコリキサーや、焼き菓子の販売といった別カテゴリーの商品も展開しているが、そうした変化と課題のなかで生まれたのがゴディバターズだ。

購入機会としては、「20代後半から30代、40代の女性ががんばった日に自分用に買う」、いわゆる「ご褒美需要」「日常使い」が中心に据えられた。開発においては、味はもちろん、「ショッピング体験としての高揚感や探究心」が重視された。

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