旭化成、横浜傾きマンションの重すぎる責任 記者会見で浅野社長が涙の謝罪

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頭を下げる会社側の出席者。左から、旭化成の平居正仁副社長、浅野敏雄社長、旭化成建材の前田富弘社長、前嶋匡・商品開発本部長(撮影:尾形文繁)
三井不動産レジデンシャルが販売した横浜市の大型マンション(2007年竣工)が傾いた問題で、10月20日、杭打ち工事を手掛けた旭化成建材とその親会社である旭化成が、初めて記者会見を開催した。出席者は、旭化成の浅野敏雄社長、平居正仁副社長、旭化成建材の前田富弘社長、前嶋匡・商品開発部長の4人だ。途中で旭化成の浅野社長が涙を流す場面もあった。報道陣との主なやり取りは以下の通り。会社側は調査委員会の委員長である、旭化成の平居副社長を中心に回答した。

 

――杭打ち工事のデータを改ざんし、支持層まで杭を打たなかった施工チームの現場代理人は、ヒアリングに対してどう答えているのか。

データ紙の紛失やデータ取得の失敗により、データを転用したことは認めているが、「不正を隠すために故意でやったことではない。杭も支持層に達したと思っている」と主張している。だが、主張には整合性が取れない部分もある。工事を手掛けた10年前の記憶と記録をもとに調査しているので、本当のことを言っているのか、ウソをついているのか、現時点で判断することは難しい。今後の調査で、杭の状態を実際見ることによって、多くのことがわかるはずだ。

現場1人の判断とは言い切れない

――杭が支持層に届いてなくても、届いたと誤認することはあるのか。届いたとの判断は、現場代理人1人が行うものなのか

今回の物件は、支持層の一部のエリアが深く沈んでいる、特殊な形状ではある。ただ、杭が支持層に届けば、必ず反動はあり、オペレーターは気付く。通常は現場管理人によるデータのチェックや、オペレーターの感覚など、すべて合わせて判断するもの。施工にかかわったチームの8人は、杭が支持層に届いたと認識しているが、10年前の記憶であり、さらなる調査が必要だ。

――現場管理人はどういう立場だったのか。杭の長さが足りなかった場合、杭を再度用意して打つことで、コストや工期を守れない、というプレッシャーがあったのではないか。

現場管理人は当時、旭化成建材の子会社から出向していた。現在は旭化成建材の契約社員だ。杭を再度打ち直す場合の費用は、元請け業者の三井住友建設が負担するので、旭化成建材にとって、追加のコスト負担にはならない。工期については当時、マンションの建設ラッシュで多忙だったので、ナーバスになっていたことはあるかもしれない。

――データの破損や紛失について、紙切れや紙詰まり、雨にぬれたなど、稚拙な理由を挙げている。その程度のことで重要なデータが取れないのか。現在も紙で記録しているのか。

2008年からは電子化され、メモリーカードで保存している。

――であれば、過去10年、旭化成建材が杭打ち工事を手掛けた3000棟のデータを調べるのは、すぐではないか。なぜ調査結果の発表に時間がかかっているのか。

データは電子化されているが、報告書はPDFで打ち出し、紙で保管している。データの転用があるかないかは、電流計のチャートの形を目で見比べて、同じような形が現れていないか確認する必要があるので、時間がかかる。

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