旭化成、横浜傾きマンションの重すぎる責任 記者会見で浅野社長が涙の謝罪

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――過去10年より前の物件の調査は行わないのか。

古い物件でも、不具合が生じていれば、誠実に対応する。ただ、古い物件はデータが残っておらず、データ改ざんの有無を確認することはできない。

――旭化成ブランドは今回の件で大きく毀損した。ビジネスに影響は出ているか。

旭化成建材で基礎工事事業に関わる百数十名は、問題の対応に追われており、実質的に事業は行えていない。戸建てのヘーベルハウス事業は、今のところ急激な受注の低下など、目に見えたマイナス影響は出ていない。

費用の分担は最後に決める

――主に旭化成のメンバーからなる調査委員会に加えて、旭化成とは利害関係のない弁護士をメンバーとする外部調査委員会を設置する予定だ。調査委員会が二つあるのはなぜか。

渡り廊下の手すりの高さがずれたことで、左側の棟が傾いたことが発覚した(撮影:今井康一)

われわれだけの調査委員会では、信頼されないので外部にもお願いする。しかし、外部の方は、どこにどのようなデータがあるのかなど旭化成内部のことがまったくわからないので、調査に時間がかかる。早期の真相解明のために、二つの調査委員会が必要と考えた。

――建物の補強・改修工事に要する費用は全額負担するとしているが、建て替えとなった場合、売り主の三井不動産レジデンシャルおよび元請けの三井住友建設と協議を進めるとしている。建て替え費用を全額負担するつもりはないのか。

真相究明が優先で、費用の分担はすべて終わって、一番最後に話し合うことだ。今はその時期ではない。

――浅野社長は今回の件を受けて、引責辞任する考えはあるのか。

今は住民の皆様の安全と真相究明に全力を尽くしたい。その後で関係者の責任問題を考える。

――住民は不安に感じている。その不安をどう払拭していくのか。

旭化成を代表し、マンション住民の皆様、「ヘーベルハウス」にお住まいの皆様、旭化成の製品を愛用して頂いている皆様に、本当に申し訳ないと反省している。(涙ぐみながら)原因究明を徹底し、問い合わせを受けた場合は、誠心誠意お答えする。

藤尾 明彦 東洋経済 記者

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ふじお あきひこ / Akihiko Fujio

『週刊東洋経済』、『会社四季報オンライン』、『会社四季報』等の編集を経て、現在『東洋経済オンライン』編集部。健康オタクでランニングが趣味。心身統一合気道初段。

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