旭化成が北海道でも杭打ち不正、弁明に矛盾 個人の不正から、建築業界全体の問題へ発展
ついにパンドラの箱が開いてしまった。「横浜の傾いたマンションは特別な事件ではない」と、皆薄々感じていたかもしれない。その懸念が現実になってしまった。
10月28日、北海道庁は旭化成建材が、道庁の発注工事で杭データを流用していたと発表した。これで横浜市の傾いたマンション以外でも、データ偽装が行われたことがわかった。横浜のマンションでデータを偽装したとされる現場代理人とは別の人物がかかわっていたことから、単なる属人的問題ではなく、旭化成建材という組織のあり方、さらにいえば建築業界全体の問題として広がりを見せつつある。
北海道の道営住宅でデータを改ざん
今回、データ流用が見つかったのは、北海道庁が発注した釧路市にある道営住宅。エレベータを増設する基礎工事に使われた31本の杭のうち1本に、他の杭のデータが流用されていたという。具体的には、2期に分けた工期のうち、1期目の杭データを2期目のデータとして流用していた。
北海道庁から連絡を受けた旭化成建材は、道庁まで札幌支店の支店長を確認に向かわせた。その場で同支店長が、データは流用・改ざんされたものだと認めたという。
旭化成建材が過去10年間に施工した物件3040件の中で、北海道では全国でも断トツの422件が施工されている。うち61件が駅や空港、公営団地などの公共施設であり、今回、見つかったのは、その公共施設のひとつ。北海道庁では、横浜の傾いたマンション問題が発覚した10月19日に対策チームを立ち上げ、独自の調査に着手していたという。
国土交通省の石井敬一大臣は、旭化成建材に11月13日までに3040件すべての調査を完了するよう指示を出していた。だが、それよりも早く、北海道庁により、横浜のマンションは特異な事例ではないことがあぶり出されてしまった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら