旭化成が北海道でも杭打ち不正、弁明に矛盾 個人の不正から、建築業界全体の問題へ発展

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今回の北海道庁による調査により、幾つも疑問点が浮かび上がった。ひとつ目が、電流計データ保存の問題だ。

「2008年から電流計もデジタル化されたので、データはUSBなどメモリーに保存してある」。20日の謝罪会見の席上、旭化成建材の前田富弘・社長はこのように断言。20日の時点では、「少なくとも2008年以降に施工された物件については改ざんのしようがない」と弁明しているようにも受け取れる。

だが、北海道の道営住宅が施工されたのは2010年7月~2011年8月。電流計はデジタル化されており、チャートデータを切り貼りすることは不可能なはずだ。この点を旭化成に問うと、「2008年から順次、デジタル機器を導入していったと言う意味。当時(2010年)、北海道はまだデジタル化されていなかった」と、前田社長の言葉を訂正した。つまり、2008年以降もデータ改ざんが行われている現場は存在していたのだ。問題を起こした会社のトップが謝罪会見に臨んでも、事態を把握しきれていないことを露呈したといえる。

一目でわかるずさんなデータ改ざん

ふたつ目が、一目見て「切り貼りされた跡」を確認できる施工報告書を、元請けであるゼネコンが受け取っていることだ。これではいくら元請けが「きちんと監理している」と強弁しても、申し開きはできない。

また、旭化成建材は、杭打ちの電流計チャート紙を調べるには、その道の技術者でなければ困難だと繰り返していた。さらに全技術者70~80人を調査にあてても、すべてを調査するには相当な時間がかかり、調査完了時期がいつになるか検討もつかないと言っていた。だが、このようななずさんなデータ改ざんであれば、技術者でなくとも見抜くことは可能だ。

旭化成は、北海道の道営住宅に関して「元請けに確認したので安全性に問題ない」と断言している。だが、これまでも問題ないと言っていたことがことごとく覆されている。はたして問題はどこまで広がりをみせるのか。驚天動地の事実が飛び出さないことを祈るしかない。

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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