「あの時助けていただいたミスドです…」もっちゅりんが続々終売のミスド。本業が伸び悩む「ダスキン」を新商品のヒット連発で支える"凄さ"

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こういった情報をもとに、近くのミスタードーナツの入り口を高齢者でも入りやすくしたり、ダスキンから家事代行の営業をかけたり。中には、空きそうな物件をいち早く察知して「あのテナント、ミスド入れませんかね?」と即座に問い合わせたこともあるという。

また、同一グループであることを知る顧客が「この間のミスド新商品はおいしいけど、食べづらいよね」「○○店のレジがもたつきがち」とダスキン社員に情報をくれることもある。

そういった事情で、お話を伺った経営者の方は、時間があれば社員と一緒に清掃に回り、お客様の話を聴くのだという……ダスキンとミスタードーナツの「掃除と味覚」な関係には、双方が補い合って生き残る「ビジネスのタネ」が隠されているのだ。

お家の清掃、全国シェア9割!ダスキンの経営課題はズバリ「ダスキン」

ダスキン決算
訪販グループの営業利益 前年比の内訳(株式会社ダスキン 決算資料より)

そんなダスキングループの、経営上の課題は「訪販の今後」。市場シェアで「家庭用90%、事業所シェア52%」を占める事業自体は順調に収益を挙げているものの、若干の伸び悩み感が見受けられるのだ。

ダスキンを中心とした「訪販グループ」の営業成績を見ると、2025年3月期の売り上げは1084億円(前年比プラス100億円)、営業利益は57億円(前年比プラス16億円)。ただし、主力であるクリーンサービス事業は、家庭向け・事業所向けとも、昨年に引き続いて減収が続いている。

営業利益として挙げた前年度比プラス16億円も、こういった減収を他部門の増収分で補い、前年比プラス4億円で何とか着地。ここに、人件費が前年比プラス9億円、モップの原価増加と在庫廃棄でプラス7億円かかっており、おもな利益増の理由は「昨年から商品につけていたRFIDタグの導入が一巡した」(前年比プラス25億円)。

つまり、ダスキンの訪販は「メイン事業の売り上げ増加で、利益を獲れたわけではない」のだ。

訪販・フードの両部門を比べてみても、売り上げは「1084億円vs667億円」と訪販が上回り、営業利益では「57億円vs85億円」とフードが上回る。全国7300店の加盟店でネットワークを広げるダスキンが圧倒的に売り上げを獲れているものの、利益に関しては「ミスド頼み」「ミスドの恩返し」状態に傾きつつある、と言っていいだろう。

ダスキンミュージアム
ダスキンミュージアム(筆者撮影)
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