「授業態度=成績」の時代は終焉? 次期学習指導要領の新方針で“泣く生徒”と”救われる生徒”の差

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その上で、この不平等感が生まれないように、具体的で客観的な指標に頼って主体的かどうかを評価している学校も多かったです。実際に学校の先生に聞いてみると、「ノート提出の有無」や「授業中の挙手回数」などの、“見える行動”を主体性の指標として機械的に使っている場合が多かった、とのこと。確かにそれであれば、不平等感も少なくなります。

しかし、この機械的な評価というのは、「主体的に学習に取り組む態度」の評価を形骸化させてしまっている面もあります。評定を良くしたい生徒は、「先生に気に入られる行動」を意識した学校生活を送るようになります。

現場の先生はこの件をどう見ているか?

かえつ有明高校・特別研究教員である前田圭介先生(東大教育学部卒・同大学院修士課程修了)は、この「先生に気に入られる行動」について、下記のような見解を述べています。

「以前から、ノートやプリントの提出や授業内の発言回数等の形式的な面が評価対象とされたり、教師の求める振る舞いを生徒が過剰に気にしてしまったりすることで、『隷属する主体性』が育まれてしまう点が懸念されていました。より極端な例になると、『学期末評定が10段階のうち9だから、3観点はオールAからどこか1つ減点しよう。であれば学習態度を減点して、A・A・Bでいこう』といった、内実の伴わない機械的な運用をしていた学校も一定数ありました。こうした意味で、今まで『学習指導要領の理念』と『現場での運用』に大きな乖離があったことは、否めないと思います」

つまり、本来の主体性を育むという理念から乖離せざるを得ない面が今まであったため、それを是正するという意味で、今回の学習指導要領の変化につながったのではないか、ということですね。

ここで注意したいのは、現在の大学入試の制度では、以前よりも「評定(成績)」の重要性が増しているという事実です。

とくに、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜が大きく拡大しています。文部科学省のデータによれば、2023年度には大学入学者のおよそ50%が推薦や総合型での入試を経ており、この傾向は今後も続くと見られています。そして総合型選抜入試では、高校での評定が大学入試の合否に直結するケースも多いです。

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