ソニーは2018年3月期までに「ROE10%以上」という目標を掲げていますから、確実に達成したいという思惑もあるのではないでしょうか。
三つめは、積極的に投資をすることです。これには、先ほどの企業買収だけでなく、設備投資や事業の拡大も含まれます。
JFEホールディングスは、2018年3月期までにROE10%超を目指しています。2015年3月期は7.7%ですから、3年間で2.3ポイント以上高めようとしているのです。その具体的な策が、積極的な設備投資です。主力の鉄鋼事業で前の期よりも35%多い6500億円の設備投資を行い、それにより収益力を高めるのです。製造効率アップでコストを削減する狙いもあります。
こうした傾向は、企業全体にも見られます。日本経済新聞社がまとめた「2015年度の設備投資動向調査」では、全産業において前年比10.5%増となる見通しです。もちろん、円安や好業績を背景に、このタイミングで設備投資をしておこうと考える企業が増えていることもあるでしょうが、ROEを意識している企業も少なくないのではないでしょうか。
配当増がROE向上へと繋がる
四つめは、配当を増やすことです。配当は、原則的に自己資本の中にある「利益剰余金」から支払われますから、配当を増やせば自己資本が減少し、ROEを高めることに繋がります。実際に、これを狙って増配や復配をする企業が増えているのです。
冒頭でも触れましたが、富士フイルムHDは3年間で2000億円を株主に還元すると発表していますし、三菱重工は、配当性向を3割前後に高めようとしています。2014年度に好業績だった JR東日本や日産自動車、伊藤忠商事なども、大幅な増配を決めています。
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