明大教授が明かす「昔、ヤンチャしててさ」なんて武勇伝は"イタい"とすら言ってもらえない厳しい現実
青空文庫は、著作権の切れたものを集めた電子書籍サービスで、そこでは文豪たちの書籍を手軽に読むことができます。
たとえば漱石の『私の個人主義』という文章があります。これは、漱石が学習院大学で行った講演録ですが、今なお私たちの心に響く内容がたくさんあります。その中でも、現代に生きる私たちに強く響く一節として、次の部分が挙げられます。
「私はこの自己本位という言葉を自分の手に握ってから大変強くなりました。彼ら何者ぞやと気概が出ました。」
「100年前の時代」から届くメッセージ
この一節は、漱石が説く"真の個人主義"の核心部分です。
現代社会では「自己肯定感」や「自己表現」といった言葉に重きが置かれてきた一方で、SNSなどで他者との比較に疲れたり、周囲に迎合しすぎて自分を見失ったりすることが多くあります。
そんな中でこの言葉は、「まず自分を確立せよ」という、100年前の時代を生きた漱石からの力強いメッセージとして私たちの心に刺さってきます。
このように、「これは漱石が自分に向かって言ってくれた言葉なんだな」と思って読むと、とても尊い言葉だと思えるでしょう。
今はじめて漱石が自分のために語ってくれているのだという感覚を持つと、1つひとつの言葉が胸に迫ってくるようになります。
SNSから雑多な情報を拾うばかりだった通勤電車の中で、青空文庫を通じて文豪の言葉に触れてみると、一瞬、漱石の言葉にハッとして励まされる。そんな新鮮な体験もできるのではないでしょうか。
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