明大教授が明かす「昔、ヤンチャしててさ」なんて武勇伝は"イタい"とすら言ってもらえない厳しい現実

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「こうすると向上していくよね」という明るい感じでポジティブなものの言い方をして、お互いに一緒にやっているという感覚を持つと、向上感を共有して場の雰囲気がよくなるでしょう。

中高年になっても驕らず、謙虚で、機嫌がよく、向上感のある人でありさえすれば、世代間を意識する必要はないのではないかと思っています。

今の努力は、未来のための仕込み

私の好きな言葉の1つに「3年先の稽古」があります。今やっていることはすぐに結果が出るものではなく、3年後のためのものだという相撲の世界の言葉です。

将来といっても20年後、30年後はピンとこないかもしれませんが、3年後、5年後くらいまではイメージできるでしょう。

具体的な計画があるわけではなくても、今やっている勉強はいつか生きるときが来る、そのときのための準備をしておこうということです。

3年後、5年後、あるいはもっと先を目指して仕込みを入れ、熟成を待つウィスキーのようなものです。かつて私は山梨県にある白州のウィスキー工場に行ったことがあって、そこで飲んだウィスキーがとんでもなくおいしかったのを覚えています。

ウィスキーの熟成にはものすごく時間がかかります。とんでもなくおいしいウィスキーのために今から仕込みを始めれば、3年後、5年後になるとしっかり熟成されたものができる。そんな感覚でしょうか。

3年後、5年後の成功を信じて行動していく、その中で、やはり日常生活を生きる自分を励ます数多くの言葉に出合ってほしいと思っています。

そういうときには、昔の文豪の言葉はおすすめです。多くの悩み、苦しみを抱えながらその時代を生きた文豪の言葉は現代でも私たちの心に響くものがあります。

今は電車の中で、ほとんど誰もがスマホを眺めていますが、私としてはそのうちのちょっとの時間でも、青空文庫のようなものを覗いてほしいと思っています。

次ページ漱石の『私の個人主義』
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事