もう「中小企業が潰れる」は通用しない! “最低賃金の引き上げ”は減税よりも効果的な経済政策だ

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中小企業の利益は過去最高を記録しており、最低賃金引き上げに耐えられない状況ではない、といいます(撮影:梅谷秀司)
オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。
退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼の著書『給料の上げ方――日本人みんなで豊かになる』では、日本人の給料を上げるための方法が詳しく解説されている。
「いまの日本の給料は、日本人のまじめさや能力にふさわしい水準ではありません。そんな低水準の給料でもガマンして働いている、その『ガマン』によって、いまの日本経済のシステムは成り立っています。でも、そんなのは絶対におかしい」
そう語るアトキンソン氏に、これからの日本に必要なことを解説してもらう。

2025年も最低賃金を「100円」引き上げるべき

石破総理は、2020年代中に最低賃金を1500円へ引き上げることを決定しました。これは、岸田前総理が目標としていた2030年代半ばから計画を前倒しした形です。

給料の上げ方: 日本人みんなで豊かになる
『給料の上げ方――日本人みんなで豊かになる』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

現在の最低賃金の全国加重平均は1055円であり、この目標を達成するには年平均7.3%の引き上げが必要です。

2025年については単純計算で77円増の1132円となりますが、昨今の物価上昇や、そもそも日本の最低賃金が国際的に低い水準にあることを勘案すれば、100円増の1155円とすべきでしょう。

事実、2023年時点で日本の購買力調整済み最低賃金はポーランドよりも低く、先進国の中で最低水準にあります。

言うまでもなく、最低賃金近傍で働く人々は低所得者層です。最低賃金の引き上げは、減税と違って、高所得者層にまで恩恵をもたらすことで財政を悪化させる心配はありません。

この政策は、財政の悪化を伴う減税や給付金とは異なり、個人の所得そのものを増やすことで手取り額を増加させるものです。そのため、経済合理性が高く、持続可能性のある手法と言えます。

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デービッド・アトキンソン 小西美術工藝社社長

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David Atkinson

元ゴールドマン・サックスアナリスト。裏千家茶名「宗真」拝受。1965年イギリス生まれ。オックスフォード大学「日本学」専攻。1992年にゴールドマン・サックス入社。日本の不良債権の実態を暴くリポートを発表し注目を浴びる。1998年に同社managing director(取締役)、2006年にpartner(共同出資者)となるが、マネーゲームを達観するに至り、2007年に退社。1999年に裏千家入門、2006年茶名「宗真」を拝受。2009年、創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手がける小西美術工藝社入社、取締役就任。2010年代表取締役会長、2011年同会長兼社長に就任し、日本の伝統文化を守りつつ伝統文化財をめぐる行政や業界の改革への提言を続けている。

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