もう「中小企業が潰れる」は通用しない! “最低賃金の引き上げ”は減税よりも効果的な経済政策だ
したがって、「最低賃金の引き上げで製造業が困窮する」という見方は、データを無視したイメージ論に過ぎません。もともと生産性の高い製造業には、賃金引き上げに対応する体力があると考えられます。
企業の対応力は十分にある
さらに、企業収益が過去最高水準で推移している点も見逃せません。法人企業統計によれば、2023年度の全産業の経常利益は106.8兆円と初めて100兆円を突破しました。これは2010年度の43.7兆円の2.4倍、2000年度の3.0倍にのぼります。
この好調さは大企業に限った話でも、輸出企業の増益が全体をひっぱっているわけでもありません。
中小企業の経常利益も25.4兆円と過去最高を更新しています。これは2010年度の2.4倍、2000年度の2.2倍でした。物価高やこれまでの最低賃金引き上げを経てもなお、中小企業も利益を拡大させているのです。

仮に、最低賃金近傍で働く420万人が全員フルタイム(年間2000時間)で働いていると仮定しても、時給を100円引き上げた場合の人件費増加額は8400億円です。これは、企業全体の利益規模から見れば、決して懸念すべき金額ではありません。
「毎年恒例の反対論」を乗り越える
第二次安倍政権以降、最低賃金が1000円を目指して引き上げられる過程で、日本商工会議所などを中心に「中小企業は耐えられない」「価格転嫁はできない」「倒産が増える」「失業者が増える」との懸念が毎年表明されてきました。
しかし、事実は異なります。2012年度から現在までに最低賃金が749円から1055円へと1.41倍に上昇した間、企業数は25万社(6.9%)、雇用者数も319万人(6.9%)増加しています。価格転嫁ができずに減益になっているどころか、大きな増益となっています。
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