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2028年「台湾有事」を描く台湾ドラマ、「期待外れ」と酷評が広がる衝撃。描かれたのは一人ひとりの戦争の物語、問われる備え

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※本記事は2025年10月11日7:00まで無料で全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。
台湾有事に備え訓練する台湾の軍隊
「台湾有事」が近づいていると言われる中、中国の侵攻を描くドラマが制作された(写真:Daniel Ceng/Getty Images)

中国人民解放軍の侵攻を描く台湾ドラマ「零日攻撃 ZERO DAY ATTACK」が日本でも8月から配信が始まり、10月4日に最終話が配信された。2024年7月に公開された17分にわたる予告編は、人民解放軍が捜索・救助活動を装って台湾を海上封鎖、サイバー攻撃によるインフラ破壊、中国政府の協力者による妨害工作など、開戦へのカウントダウンが描かれ、公開から4日間で75万回再生を記録するなど大きな反響を呼んだ。

予告編の公開と同時に大きな反応と議論を呼んだ衝撃の期待作は、今では期待外れだったとの酷評もある。このドラマは私たちに何を伝えたかったのか。

与党のプロパガンダか?文化事業か?

このドラマは、台湾で初めて中国による台湾侵攻(台湾有事)を全面的に扱ったテレビドラマだ。プロデューサーの鄭心媚氏は、「脅威は今に始まったことではないが、センシティブな問題であるため、これまで話題にするのを避けてきた」と語る。

総製作費2億3000万台湾元(約11億円)、そのうち文化部(文化省)の補助金が約3分の1を占める。また文化コンテンツを支援する文化内容策進院(TAICCA)、高雄市の映画助成プログラム、台湾最大通信会社の中華電信、複数の民間企業から投資を受けるほか、半導体受託生産台湾第2位・聯華電子(UMC)創業者など個人も出資している。

野党・国民党の議員からは、政府や与党・民進党のプロパガンダだ、政治的メッセージのために国家予算が使われているなどの批判の声が上がった。

文化部の文化コンテンツ産業強化「黒潮計画」は4年間で100億台湾元(約465億円)を計上し、公募で採用されれば製作費の最大40%が助成される。このドラマの制作費の3分の1が約7667万台湾元(約3.8億円)とすると、「黒潮計画」総予算の100分の1にも満たない。

エグゼクティブプロデューサーの林錦昌氏によれば、リスクの高い企画ということで、当初は資金調達に苦労したという。メッセージ性が強い作品だから資金を得られたわけではない、企画が評価されたからだ、と言い切る。

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