それでも全体としては、ルーフがそのままテールエンドにつながる、いわゆるファストバックスタイルで、パワーもしっかりあるが、なによりエレガントさが感じられる。
「街を走っていてとにかく注目されるようなデザインが欲しければ、ランボルギーニをどうぞ(笑)」
かつてフェラーリのデザイナーが私にそう言った。
エンジンを楽しむために
アマルフィの“心臓”は、3855ccのV型8気筒。なめらかな表面処理が施されたボンネットを開けると、前車軸の後ろにぎゅっと詰め込まれているのが見える。
おなじみの赤い結晶塗装が施されたカムカバーは、いまも魅力的に見える。

「(フェラーリの)創業者は、かつて“エンジンはフェラーリ車のハートとソウル”と言っていました」
最高出力は470kW(640CV)で、最大トルクは760Nm。最高出力の発生回転数は7500rpmだ。
「私たちは78年間、絶え間なくエンジンの改良に心血を注いできました。今回のV8は(ローマ)より早く最高回転数に達するスムーズさを実現しています」
エンジニアリングを統括するジャンマリア・フルジェンツィ氏は強調した。
別々の軸を使うことで回転のスムーズさを上げた2基のターボチャージャーが、性能向上に大きく貢献。
8段デュアルクラッチ変速機(DCT)も、特に3速ギアと4速ギアでの回転の伸びにより、ローマより遥かにパワーを感じさせてくれるものだという。

ハイブリッド化は考えなかったのか。
私の質問に対して、「エンジンを楽しんでもらいたい」と、フルジェンツィ氏は自信満々という感じで答えてくれた。
「ローマのエレガントなプロポーションから(スタイリングの)インスピレーションを得た」とは、フェラーリが用意したプレスリリース内の文言。
シルエットや面の構成は、たしかにほぼローマ。ウインドウのガラスも、リア以外は共用だという。

フロントマスクのデザインは「考え方は同じで、発展形と考えてほしい」(担当デザイナー)そうだ。
それでも、ローマにあったグリルはなくなり、「ウイングタイプ」とされるヘッドランプもより車体との一体感が強くなっている。
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