外交的思考 北岡伸一著 ~深く考え続けることが大切と説く

外交的思考 北岡伸一著 ~深く考え続けることが大切と説く

評者 中沢孝夫 福井県立大学特任教授

日中の歴史共同研究やPKO、あるいはアフリカ諸国の現状などに関し、雑誌や新聞に連載したエッセイを中心に編んだ本である。語られていることは「外交」や「歴史」あるいは「教養」といったことなのだが、一貫しているのは国連外交の現場での経験や、深い知識から導かれた緻密で厚みのある視点だ。

たとえば著者は歴史を考えるうえでの注意点を次のように語る。「変化はしばしば目に見えない持続的な蓄積として起こるので、必ずしも『事件』ばかりではない。また一つの事件はしばしば二つ以上の意味を持ち、多義的であることにも注意しておきたい」と。たしかにそうなのだ。明治維新、日露戦争、太平洋戦争といった歴史的な大きな転換点を考えてもよい。それは多様な「持続的な蓄積」によって生じており、特定の原因で理解することはできない。

あるいは本書は「戦略」について次のように述べる。「目標あるいは願望の羅列」は戦略とはいえない。「戦略とは限られた資源をいかに効果的に活用するかということ」で、「複数の目標に優先順位を付し、目標実現のための具体的な方策やコストを検討する」ことである、と。

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