「永野芽郁騒動」で揺れた映画《かくかくしかじか》が意外にも健闘の理由は? 見る人次第で傑作にも凡作にもなる「東村アキコ」の自伝的作品

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2人が本作を引っ張っているのは誰もが感じることだろう。逆に言えば、芸達者なこの2人でなければ、違ったカラーの作品になってしまっていたかもしれない。

それほどハマっているキャスティングであり、それによって輝いている映画だ。同時に、稀代のスターである2人の芝居の影響力の大きさを痛感する。

竹刀を持つ大泉洋
永野芽郁と大泉洋の名演によって、心躍らせる物語になっている(画像:映画『かくかくしかじか』公式Xより引用)

映画もドラマも不倫疑惑騒動の影響はない

本作は東村アキコファンに向けた作品であり、一般層が共感できる普遍的な物語ではあるものの、その普遍性が凡庸にも見えてしまう諸刃の剣になっている。その結果が「そこそこのヒット」という興行成績に表れている。

SNSなどの声を見ていると、永野芽郁の芝居への評価が多く目につく。興行結果からも、不倫疑惑騒動でのバッシングの影響はほぼないと見ていい。

俳優のプライベートを探り、世間が欲しがっているからと騒ぐ「メディア狂想曲」を横目に、作品に興味のある人は映画館に足を運び、俳優の芝居が好きな人はそれを評価している。

永野芽郁が主演した4月期の連続ドラマ『キャスター』(TBS日曜劇場)は、まさに不倫疑惑騒動の渦中に放送されていたが、平均世帯視聴率は10%を超え、今期の視聴率No.1ドラマになっている。

放送日ごとでは、最初に不倫報道があった4月23日を挟んで、視聴率は4月20日放送の11.7%から、4月27日放送の10.9%へと下がってはいるが、通常の推移の範囲だ。その後の5月中は10%台をキープしている。テレビドラマにも騒動の影響はほぼないように見受けられる。

今回の映画公開を巻き込んだ騒動は、エンターテインメント好きな人たちの民度の高さと、ネットニュースやSNSの炎上騒動といった世間のから騒ぎなど、社会のほんの小さな一部に過ぎないことを示しているのではないだろうか。

もちろん騒動に対する人それぞれの考え方も感情の振れ方もある。だから、人は人、自分は自分で、好きなもの、興味があるものに向き合えばいい。それが健全な社会だろう。

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武井 保之 ライター

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たけい・やすゆき / Takei Yasuyuki

日本およびハリウッドの映画シーン、動画配信サービスの動向など映像メディアとコンテンツのトレンドを主に執筆。エンタテインメントビジネスのほか、映画、テレビドラマ、バラエティ、お笑い、音楽などに関するスタッフ、演者への取材・執筆も行う。韓国ドラマ・映画・K-POPなど韓国コンテンツにも注目している。音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク系専門誌などの編集者を経て、フリーランスとして活動中。

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