わかっているのに「なぜか動き出せない」…。意志が弱いせいじゃない"本当の理由"
ここで、もう一つ重要なのは、「成長志向」と「固定志向」という考え方です。
スタンフォード大学のドゥエックは、長年の研究から、人の能力は変えられると信じている人(成長志向)は、失敗を「学びの機会」と捉える傾向にあることを明らかにしました。一方、「人は生まれつきの能力で決まる」と考える人(固定志向)は、失敗によって「自分には向いていない」「恥をかいた」と受け止め、回避的になります。
つまり、私たちが失敗にどう向き合うかは、その人の思考のクセや文化的な背景に大きく影響されるのです。
加えて、成功の瞬間や、美しく整えられた成果ばかりがシェアされる現代のSNS社会もこの傾向を強めています。失敗や試行錯誤は「見せるに値しないもの」として排除され、「最初からうまくできること」が価値と見なされやすくなっています。
スタンフォード大学のバンデューラによると、他人の成功ばかりが見える状態に長く晒されると、自己効力感が低下し、行動への意欲が萎縮するとされています。
失敗を減らそうとするのではなく、立ち直る仕組みをつくればいい
では、どうすれば私たちは「失敗」を再定義できるのでしょうか?
一つのヒントは、「エラーを学習機会として処理する脳の仕組み」にあります。
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