わかっているのに「なぜか動き出せない」…。意志が弱いせいじゃない"本当の理由"

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私たちの脳は、間違ったり予想外の出来事に直面したりしたとき、前頭前野が活性化し、「次はどうするか」を考える働きが高まることが知られています。つまり、失敗は単なる挫折ではなく、脳にとっては再構築のチャンスでもあるのです。

さらに、「なぜ失敗したか」を振り返ることは、メタ認知(自分の思考や行動を俯瞰して見直す力)の発達にもつながります。この力は、学びを深めるだけでなく、自分自身の感情や行動を冷静に整理するためにも非常に重要です。

実際に、成功者と呼ばれる人たちの多くが、失敗を通過点や必要なプロセスとして語ります。彼らは失敗を恐れていなかったわけではありません。失敗してもそこから学べることを知っていたから、挑戦を続けてこられたのです。

「成功者」の姿は、すでに結果が出た後のもの

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歴史に名を残す人々を見てもそれは明らかです。

たとえば、発明王トーマス・エジソン。彼は電球のフィラメント素材を探す過程で1万回以上の実験に失敗したといわれています。記者に「なぜそんなに失敗しても続けられるのか」と聞かれたエジソンは、こう答えました。

「私は失敗などしていない。うまくいかない方法を1万通り発見しただけだ」

この有名な言葉は、失敗を「ムダ」ではなく「前進のための情報」として受け取る姿勢を象徴しています。

また、スポーツ界で語り継がれるのはバスケットボールの神様、マイケル・ジョーダンの言葉です。

「私はキャリアのなかで9000回以上シュートを外している。試合にも300回以上負けた。ウィニングショットを任されて失敗したのは26回。私は何度も何度も失敗してきた。だから私は成功したんだ」

私たちが見る「成功者」の姿は、すでに結果が出た後のものです。けれど、その裏には数え切れないほどの失敗や試行錯誤、そして諦めなかった経験が積み重なっているのです。

堀田 秀吾 明治大学教授

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ほった しゅうご / Syugo Hotta

言語学博士。熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程修了。ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了。言葉とコミュニケーションをテーマに、言語学、法学、社会心理学、脳科学などのさまざまな分野を融合した研究を展開。熱血指導と画期的な授業スタイルが支持され、「明治一受けたい授業」にも選出される。研究の一方で「学びとエンターテインメントの融合」をライフワークとし、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書等を多数執筆、テレビ番組にも出演する等、多岐にわたる活動を展開している。

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