特に心配になったのは、音楽です。私が子どもの頃に歌っていた童謡はほとんどなくなり、流行歌ばかりになっていることに気づきました。
童謡は、日本人としての感性や情緒を育む、美しい日本語からなる歌です。3歳の子どもから100歳のおばあちゃんまで口ずさめるのも大きな魅力ですが、それを小学校で習わないなんて、大きなショックを受けました。
これは親が家庭で伝えるべきだと思い、童謡のCDや本をたくさん取り寄せて、自分で子どもたちに歌って聞かせることにしました。
童謡に加えて、絵本の読み聞かせも始めました。絵本は、子どもの頭と心にたくさんの美しい日本語を届けてくれます。テレビなどから耳にする乱暴な言葉は、どのみち後から子どもの耳に入ってしまいます。だからこそ、幼いころは、美しい日本語に触れさせてあげたいと考えていました。
絵本のお話は、動物がだまし合いをする場面があったとしても、最終的には仲良くなったり、平和な結末を迎える話が多いです。また、「もともと愚かだからこそ、お互いに大事にしないといけない」という教訓を伝える話もあります。
親はつい教訓やうんちくを垂れたくなりますが、そんなものは、子どもにとって楽しくありません。絵本から、暗黙のうちに大切なことを学んでもらおうと思いました。
「1万冊」が語彙力アップのカギ
1万冊というのは、夫が司法試験を受ける際に「1万時間勉強すれば合格すると言われている」と言っていたこと、それから、著名な音楽教育者が「いい音を出すには、1万回の練習が必要」とおっしゃっていたことなどが頭にあったからです。
「1万」というのは1つのキーワードだと感じましたし、1000や2000という中途半端な数ではなく、目標は高く持って、親として1万冊読むことを仕事にしようと決めました。
日割り計算すれば、1日10~15冊読めば2~3年で達成できます。ただ、続けざまに10冊読んでも、子どもは飽きてしまいます。1日かけてトータルで10冊読むようにしました。
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