マックハウス、12年ぶりに客数が増えたワケ 「3ケタ商品」と「店舗改革」が奏功

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ユニクロなどSPAとの差別化を意識しており、「われわれはベンダー商売だ。ベンダー同士に競争してもらう方が、はるかにコストは安く、いい物が入ってくる。アパレルのベンダーは懐が深いので、うまく使った方がいい」(白土社長)と持論を披露。ユニクロなどが得意とする一方、マックハウスが手薄だった、日常買いの実需商品も強化しており、「大手と組みたくない素材メーカーとも組んだ」(同)と語る。

さらにSPAと差別化するため、NB(ナショナルブランド)も強化している。もともとジーンズに合わせたカジュアルショップが原点だったが、過去にリーバイスが1万円以上する商品のみを販売するプレミアム路線に舵を切ったことで、低価格主体のマックハウスは、リーバイス商品が入荷しにくくなる異常事態が発生した。しかし、2014年秋にリーバイ・ストラウス ジャパンの社長が交代したことを受けて、方針転換。新たにリーバイスの中でも低価格商品を中心に陳列できるようになった。現在売れている、クラシックジーンズ「541」「505」「511」は、6500円(税別)と手ごろ感があり、マックハウス限定商品だ。

営業現場の改革も急ぐ。昔はジーンズを置いていれば、売れる時代だったというが、今は変わった。現場への権限委譲を強めて、トップスからボトムスまでのコーディネートを提案する販売に転換。週末の売り上げを50%以上伸ばした店長を、「スター店長」として毎週発表しているほか、コーディネート販売で買い上げ点数を増やし、2万円以上を売り上げた「ビジカジ隊長」も発表するなど、競争意識を植え付けている。これに先駆けて現場社員へのアンケートでマックハウスの強みを聞いたところ、「親会社が(財務が安定した)チヨダであること」との声が多くてびっくりしたという。親への依存体質ではなく、自分の足で立つためにも、社内ではっぱをかけ続ける。

新業態は白が基調でイメージ一新

マックハウススーパーストアは店内雰囲気やディスプレイを全く変えた

また店舗改革も同時に実行している。「地方店舗は看板もバラバラ。店舗年齢は16年以上で、食べ物屋でいうと”昭和の食堂”」と、半ば自虐的に白土社長は言う。

現在リニューアルを積極化しており、今年3月にオープンした新業態のマックハウススーパーストア「ビバモール大井店」は、ディスプレイの仕方や白を基調にした店内雰囲気など、これまでとまったく異なるイメージで、マックハウス史上最高のオープン売り上げを記録。年商も1.4倍の2億4000万円を見込めるほど好調という。今後は年商8000万円以下の出店はしない方針で、現状で36%程度ある赤字店の積極的な閉鎖を進めており、今期は出店7に対し、退店36を計画している。

復調を見せたマックハウスは、昭和の食堂から脱却することができるのか。白土社長の改革は始まったばかりだ。
 

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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