優先すべきは企業と家計の所得を増やすこと 法人減税に向けた明確な道筋がほしい

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現在必要なのは、企業の売り上げと家計の所得を増やすことであって、金融政策の出番ではないだろう。そこで経済政策はどうかと目を向けると、最近発表された「新3本の矢」は海外投資家の間でも評判が悪い。

その理由は主に3つ。①内容が具体的でない、②大きな政府(介護、保育面など)と小さな政府(規制緩和など自由競争を促す方向性で海外投資家が期待している)のどちらを目指しているのかわからない、③成長戦略がまだ不十分な中で打ち出したのは旧3本の矢を途中で放り出したのでは、といった懸念である。

黒字企業に優しく赤字企業に厳しく

10月11日付の日本経済新聞の観測記事で、政府が法人税率の引き下げペースを加速すると報じられたことは好材料だった。というのは、法人減税が企業の税引後利益の押し上げにつながること自体が好感されるのはもちろん、旧3本の矢を途中で放棄したわけではない、というメッセージにもなったためだ。法人税率引き下げに向けた道筋を、早期に明確化することが望まれる。

金融政策以外の経済政策をずらっと並べて眺めると、明確な方向性が見えてくる。それは、弱い企業、駄目な産業を救って底上げするものではなく、自助努力をする企業や産業の成長を後押しする、というものだ。

TPPは最たる例で、自由競争が促されるなかで世界を舞台に活躍できる企業もあれば、競争に敗れて消える企業もある。法人減税も、税収減を埋め合わせるために赤字企業でも支払う義務がある外形標準課税を拡大すると見込まれており、黒字企業には優しく、赤字企業には厳しくなる。

株式市場においても、GPIFなど公的資金の株式買いには、銘柄を選別して投資するアクティブファンドへの資金配分も含まれている。JPX400をベンチマークに加えたことは、採用銘柄に入ることができないような企業には積極的に投資をしない、という意味を含む。ESG(環境、社会、ガバナンス)投資を検討するというのは、企業経営の質を選別して投資する、という意味合いだ。

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