優先すべきは企業と家計の所得を増やすこと 法人減税に向けた明確な道筋がほしい

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企業も座して死を待つわけにはいかない。弱い企業は退場しろという経済政策の方向性が明確になるほど、生き残りのための必死度が増す。目の色を変えて自助努力をする企業が増え、消え去る企業を数で上回れば、全体としての景気も上向き、個別銘柄株価の平均値である日経平均やTOPIXも上がる傾向になっていくのだろう。

銘柄ごとの株価格差が一段と拡大することで、投信などのアクティブ運用をする機関投資家の優劣も明確になる。個人投資家も同じで、運用成果の格差は広がるだろう。もちろん、筆者を含めた専門家の優劣も同様だ。考えてみれば、誰もが生き残る状況より健全なのではないだろうか(特に専門家)。もちろん、再チャレンジの機会を与えられる必要はあるだろうが。

二進一退の展開で徐々に不安から脱却

こうして長期的な観点から銘柄間の株価格差が広がると見ているが、今週の相場についてはどうか。19日(月)に発表されるGDPなど中国の経済指標は減速色を示すだろうが、すでに懸念されている通りでネガティブサプライズにはなりにくい。

注目は引き続き米国企業の7~9月期の決算内容と、国内内需系の業界統計(9月の百貨店、スーパー、コンビニエンスストアの売上高)、前述の日銀さくらレポートなどで、国内景気の底固さの度合いを恐る恐る確認するのではないだろうか。

こうして国内株式市場は内外のデータを確かめながら、徐々に不安からの脱却が進むと期待されるが、一気に市況好転となるのは難しく二進一退の展開が持続すると見込む。日経平均株価は1万8100~1万8700円と、10月9日(金)の戻り高値である1万8438円水準超えを予想する。
 

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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