怒りっぽい職場のあの人は「実は鬱症状」かもしれない メンタル不調の兆候を“いち早くつかむ”ために知っておきたいこと

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短期間のコルチゾール分泌は、身体を危機に備えさせるために有益ですが、長期間にわたって高いコルチゾールレベルが続くと、脳のワーキングメモリを含む認知機能に悪影響を及ぼします。

その結果、集中力や判断力が低下し、感情のコントロールが難しくなり、ちょっとしたことでイライラしたり、怒りっぽくなったりすることにつながります。

また、ストレスが長期間続くと、脳は感情的な反応や危機への対応を優先し、前頭前野の機能が抑制されるため、認知機能の効率が低下することがあります。この現象は、ワーキングメモリの利用可能な認知資源が減少することと関連しています。

ストレスが過剰になると、脳は本来なら思考や判断に使うべきリソースを、ストレスへの対処に振り向けてしまいます。その結果、集中力の低下、記憶力の低下、ミスの増加、思考の鈍化など、認知機能全般に悪影響を及ぼします。

こうした背景から、メンタルヘルス不調に陥ると、人に優しく接することが難しくなってしまうことがあります。

皆さんの周りでも、「今日はあの人、機嫌が悪いな」と感じることがあるかもしれません。その人は、何かストレスを感じていて、認知機能のリソースが低下し、一時的に感情の制御が難しくなっているのかもしれません。

こうした状態が一時的なものでなく、1日中続いたり、数日にわたったりするようであれば、メンタルヘルス不調の度合いが強まっている可能性があります。

この状態を放置すると、周囲との感情的不和が生じ、さらにストレスを感じることで、症状が悪化していく悪循環に陥ってしまいます。

考えられないミスが出始めたら、悪循環の始まり

私のもとに受診してくるビジネスパーソンの中で、上司に受診を勧められた理由のナンバーワンが「仕事であり得ないミスをするようになったこと」です。

上司のタイプにもよりますが、小さなミスを1回しただけで厳しい指摘をするケースは少ないでしょう。なぜなら、指摘・しっ責によって部下のモチベーションが低下したり、部下との関係性が悪くなったりするリスクを考慮するためです。

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