「認知症」を防ぎ、高齢になっても働き続けるために… 明確に“予防できる”認知症の種類とは?

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聴力に関しては、4000㎐の高音域の聴力低下は騒音難聴と言われ、昔であれば工場での機械の音など、職場の騒音が原因となっていることも少なくありませんでした。

現在ではヘッドホン、イヤホンを着けて大きな音量で音楽を聴くと、工場での騒音などと同様に、騒音難聴を起こすことが知られています。

難聴はそれだけでも日常生活が不便になるものです。

しかし、難聴を予防する必要があるさらに大きな要因は、難聴は認知症の発症率を約2倍増加させることです。

ランセットという、医学会で権威のある雑誌で発表された論文では、認知症の危険因子がいくつか挙げられていますが、「過度のアルコール消費」や「喫煙」「うつ病」とともに「難聴」が挙げられています。

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そして認知症における難聴の危険度は、高LDLコレステロールと並んで関連性が最も高いとされています。

難聴になると、会話やコミュニケーションが困難になり、社会活動への参加が減少し、孤立するリスクが高まります。孤立や社会的なつながりの欠如は、認知機能の低下を招く要因です。

また難聴により聴覚からの情報入力が減少すると、脳の聴覚野を含む特定の領域の活動が低下します。すると、脳のネットワーク全体の活動の減少につながり、認知機能が低下する可能性が高まります。

難聴につながらない音楽の聴き方

それでは、難聴につながらないような形で、好きな音楽を楽しんで聴く方法はないのでしょうか。

WHO(世界保健機関)は、難聴を予防する安全な聴き方として、ヘッドホンやイヤホンを着け、80㏈(走行中の電車内くらいの音量)で、1日5時間程度までの使用を推奨しています。

人によっては「時間が足りない!」と思うかもしれません。その場合は、ノイズキャンセリング機能を使って、音量を下げるようにしましょう。

ビジネスパーソンとして、また引退後の生活の質を保つためにも、音楽の聴き方に気をつけましょう。

吉田 英司 日本医師会認定産業医、心療内科医

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よしだ えいじ / Eiji Yoshida

株式会社ベスリ代表取締役。研修医修了後に、外資系経営コンサルティングファームのベイン・アンド・カンパニーに参画。主に、中期計画の策定、新規事業戦略、事業再建などのテーマでコンサルティングを約3年経験。トップマネジメントに向けた戦略の立案と共に、現場社員への実行支援に精力的に取組む。その後、シャープ、ルネサス エレクトロニクス、上場外資IT企業、外資化学メーカー、東京オリンピックパラリンピック組織委員会などで産業医を歴任し、社員個人の健康支援だけでなく、全社的な健康経営や健康施策の立案と推進を行う。産業医や心療内科医として働くかたわら、日本のビジネスパーソンの可能性を最大化するために株式会社ベスリを設立し、企業の産業保健活動支援やリワークでの復職支援を行なっている。

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