家電量販サバイバル、縮む市場で熾烈な出店競争 単純な陣取り合戦に
一方、真正面からの戦いを避けて生き残りを図るところもある。エディオンは住宅用の太陽光発電やオール電化、リフォームなどを強化している。業界に先駆けて09年から訪問販売部隊を作ったほか、太陽光は全店で、リフォームは半分近くの店舗で取り扱っている。
だが、ヤマダはその分野でも布石を打っている。昨年10月に住宅メーカーのエス・バイ・エルを買収し、山田会長の直轄でスマートハウス事業を拡大している。今後3年間で約100店にスマートハウス売り場を導入する計画で、新築のみならず、分譲用地募集やリフォームも手掛ける住宅売り場を展開する方針だ。「住宅や電気自動車、太陽光、蓄電池、家電までをトータルで提供するのは、究極の家電ビジネス」と山田会長は言う。
オーバーストア状態 単純な陣取り合戦に
家電量販店業界は「完全にオーバーストア状態」(証券アナリスト)。過当競争が繰り広げられる中、下位グループは苦しい状況にある。
九州地盤のベスト電器は赤字になった店の閉鎖を余儀なくされ、2月末に300人の追加リストラを実施した。コジマも店舗閉鎖を進めている最中だ。
ある家電量販店幹部は指摘する。「たとえばコジマとヤマダの出店エリアにケーズが進出すれば、いずれか1店が苦しくなる。家電量販店は単純な陣取り合戦だ」。競争力のない店は淘汰される運命にある。
00年以降、業界では規模拡大を目的とした再編が相次いだ。過去5年を見ても、07年にケーズが東北地盤のデンコードーを買収し、08年にはベスト電器がビックカメラの持ち分法適用会社となった。直近は小康状態だったが、それは09年から始まった家電エコポイント制度の恩恵を業界全体で受けていたからだ。需要が縮む市場で始まった熾烈な消耗戦は、業界再編の引き金となる可能性が高い。
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(前田佳子 =週刊東洋経済2012年3月24日号)
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