日本のワイン市場、底堅い成長が続き、「質」の改善も進む

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今や日本の多くの若い女性がワインを飲み始めています。むろん、流行に乗っただけという側面もありますが、一方で、なぜワインを飲むのかというはっきりした意志を持った人も出てきているのです。自分の運命は自らが決めるというスタンスなのでしょう。

--日本の消費者は今後、1年で1人当たり5リットルを消費するようになると見ていますね。

この10年でワインは日本の消費生活に浸透しました。向こう数年で5リットル程度になるだろうという見立てです。祝い事などが開かれる頻度を踏まえれば、同水準までは拡大の余地があるだろう、ということです。

日本の市場自体はかなり成熟化しています。ワインを知っている人が大勢おり、品ぞろえも極めて豊富です。東京の酒蔵にはプロフェッショナルによって厳選された世界中のワインが用意されています。消費者はワインについて知識を得ようとしている。そうした知りたいという好奇心を持った人々が消費を支えています。市場の劇的な成長は見込めないものの、日本には「質的」な拡大があるのです。

--日本の消費者に伝えたいことは。

ワインの喜びを発見するのは、いい料理に巡り合うようなもの。簡単にできるわけではありません。しかし、いったんいいものを口にする機会を得たら、その後はワインについてあれこれと言う人に変わることでしょう。興味深いですね。ワインやスピリッツの種類はさまざま。それぞれに異なった飲む楽しみを見つけることができるはずです。

ワイン造りは時間のかかる仕事です。毎年の気候条件次第で、結果も変わってきます。体力的にも厳しいうえ、暑いや寒いといった「偶然」にも左右されます。だから、自然のこともよく理解していなければなりません。
 
 才能や知識、記憶力などをフル活用する必要がある。それだけにワイン造りで得られる満足感も大きいのです。ワイン造りに携わる人たちは情熱を持って仕事に取り組んでいます。

Dominique Heriard Dubreuil
ヴィネクスポ・アジア・パシフィック会長。1970年から広告宣伝会社に勤務。88年仏酒類メーカーのレミー・マルタン入社。90年に同社会長兼最高経営責任者(CEO)。98年レミー・コワントロー会長兼CEO。2004年から同社取締役会長を務める。

(聞き手:松崎泰弘=東洋経済オンライン)

タイトル下写真はイメージです。本文とは関係ありません。撮影:吉野純治
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