しかし弟分とはいえ、1630万画素のX-Trans CMOS IIセンサーや位相差AFのスピードなども、X-T1と同等だ。プロにとってはサブカメラとして優秀といえるが、そうでない人にとっては十分に性能を楽しむことができるカメラだ。
センサーはローパスフィルターレスで、細部まで非常にはっきりとした絵が得られ、後述の豊かな色味と合わせて、ただシャッターを切るだけで違った世界を切り取ってくれるような感覚になる。
レトロなデザインと癖のある操作性
スタイルを一言でいえば、レトロ。マグネシウム合金を使ったボディは、がっちりとしていながら、381グラムと軽い。ここにストロボや電子ビューファインダーが内蔵され、コンパクトにまとめられている。
ボディの天面には、ドライブモード、シャッタースピード、露出補正のダイヤルが3つ並んでいるが、一般的なカメラに備わっているモードダイヤルはない。絞りはレンズのダイヤルで調整でき、もしシャッタースピード優先にしたければレンズの絞りをオートに設定、絞り優先にしたければ、シャッタースピードのダイヤルをAに合わせればよい。
この仕組みを理解するまでは、直感性に欠ける印象をどうしても覚えていた。しかしモードダイヤルがないということで、操作がひとつ減ったとも考えられる。
たとえば筆者の場合、絞りこそコントロールするが、シャッタースピードを操作することは、これまでのカメラを触っているときもほとんどなかった。つまり、プログラム以外であれば、モードダイヤルでいうところの「A」、絞り優先を使うことが多かったのだ。ということは、X-T10では、シャッタースピードをオートにしておくだけでいいわけだ。
この操作性になると、思いどおりの写真が得られなかった場合、露出補正ではなく、シャッタースピードをマニュアルで設定して撮るようになった。より積極的にカメラを操作するにようになり、これがなかなか楽しい体験だった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら