富士フイルム「レトロ風カメラ」の意外な魅力 レトロなデザインと癖のある操作性

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フィルムを再現した色味にプリセットできる

難しいことを考えたくないという場面にも、X-T10は配慮してくれる。オートフォーカスも含めて、すべてをオートに設定するスイッチがシャッタースピードダイヤルのわきに用意されており、困った時はこのスイッチをオンにしてカメラに任せることもできる。

また、ボディの前後にも2つのダイヤルが用意されており、カスタマイズでき、自由度が高いのも特徴だ。

最近のデジタルカメラには、インスタグラムなどでかけられるようなフィルターを備え、撮影時からエフェクトをかけて楽しむ事ができる。X-T10にもその機能があり、左上面にあるドライブダイヤルで2つのエフェクトを直ぐに呼び出せる。

フィルムシュミレーションという選択肢

しかし富士フイルムらしい楽しみ方として、エフェクトではなく現像時にフィルムを再現したカラーにプリセットできる、フィルムシミュレーションだ。デジタル以前は選ぶフィルムによって仕上がりが異なり、これを撮影後の後処理に加えているのがこの機能だ。

ポジフィルムのブランド名である、プロビア/ベルビア/アスティアは、フィルムの箱に書かれているロゴがデジタルディスプレイに表示される。主にプロビアでの撮影を試しているところだが、発色のよさは非常に新鮮だった。

付属するレンズでも十分に楽しめる(写真をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

富士フイルムX-T10は、ミラーレス一眼としても必ずしも安い部類ではない。しかし標準ズームキットに付属してくるXF 18–55ミリメートル/f2.8–4は、非常に丁寧に作られており、当面これ1本で十分に楽しむことができるはずだ。

オートモードで自由気ままにスナップが楽しめる手軽さを残しつつも、癖のあるインターフェースは、結果的に、よりカメラをコントロールすることを促し、積極的に写真に取り組む姿勢を作り出してくれた。

筆者はニコンのレンズと、オリンパスのマイクロフォーサーズのレンズを何本か持っている。ニコンのレンズを富士フイルムのXマウントに取り付けられるようにするアダプタを手に入れて、20ミリメートルや35ミリメートルの単焦点レンズや、60ミリメートルマクロ、70–300ミリメートルの望遠レンズなどを使えるようにしたいと思う。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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