世界的に著名なドライビングシュミレーター「グランツーリスモ」に中国シャオミのEVが異例のスピード採用。ブランド力・技術力に注目
中国ではシャオミをはじめ、インフォテインメントを含む自社の車載システムの開発を進めるメーカーが増えている。ファーウェイは自社で直接EVを製造しないものの、自社開発したスマートフォンやIoTデバイス向けOSであるHarmonyOSをベースにHarmony Intelligent Mobility Alliance(HIMA)を立ち上げ、セレスのAITO、チェリーのLuxeedなどと提携。中国トヨタもHarmonyOSの採用を始めている。シャオミもファーウェイもスマートフォン、IoT機器、スマート家電、EVと製品を越えた連携ができるのが強みになっている。
グランツーリスモがシャオミを認めた理由
中国自動車工業協会(CAAM)などの情報によると、2024年の中国国内の新エネルギー車の販売台数は前年比約4割増となり、初めて1000万台の大台を超えた。新車全体に占める新エネルギー車の販売台数は全体の約4割に達しているのだ。このうちEVは前年比15.5%増の約772万台、PHEVは同83.3%増の約514万台だった。
中国は16年連続で世界最大の自動車市場となっているが、政府による新エネルギー車の普及促進施策もあり、中国メーカーの勢いが増している。BYDなど大手メーカーが躍進する一方、NIOなど新興メーカーは苦戦が続いているものの、市場全体を見ると新エネルギー車シフトへの加速が市場全体を活発なものにしている。
このような状況の中、スマートフォンメーカーとして圧倒的な認知度を誇るシャオミのEVも大きな注目を集めている。それはスマートフォンで培ったブランド力に長けているだけではない。航続距離や加速性能といった自動車の基本スペックが優れており、またスマートフォンとの連携などスマートカーとしての使いやすさにも優れ、さらに鮮やかなカラーリングや流線型のボディーといったデザイン、そしてコストパフォーマンスの高さなどが認められているからだ。シャオミのEVは自社のスマートデバイス同様に、常にユーザーの立場に立ったものづくりを追求しているのである。

もっとも、中国の自動車市場における販売台数やブランド力ではBYDなど老舗・大手自動車メーカーのほうがシャオミを大きく上回っている。だが製品開発の勢いという点でシャオミも負けてはいない。そして短期間でEVを作り上げ、世界記録を更新するというシャオミの技術力や熱意が、グランツーリスモを作り上げた株式会社ポリフォニー・デジタルの山内一典代表取締役プレジデントに大きな感銘を与え、世界的なドライビングシミュレーターに同社EVを登場させるに至ったのだ。
シャオミのEVは現在は中国国内だけで販売されているが、2027年にはグローバル市場進出を目論んでいる。そのためにはスマートフォンやIoT機器を中心とした自社ブランドの認知拡大も必要だろうが、畑違いである自動車市場でのブランディング向上には役不足だ。
自動車市場で高い評価を得ているグランツーリスモにシャオミのEVが採用されたことは、単に世界中のプレイヤーに認知されるだけの意味にとどまらない。「あのグランツーリスモに登場するメーカー」という事実そのものが、グローバルな信頼とブランド価値の向上につながるのだ。今回の協業は中国メーカーのEVがゲーム内に登場したという枠を超え、シャオミが国際的な自動車ブランドとして新たなステージに立ったことを象徴する出来事だと言えるだろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら