世界的に著名なドライビングシュミレーター「グランツーリスモ」に中国シャオミのEVが異例のスピード採用。ブランド力・技術力に注目

一方、EV市場への参入を表明したのは2021年3月であり、10年間で100億ドルを投資するという壮大な計画を発表した。それからわずか3年後の2024年3月に初のEV「Xiaomi SU7」の販売を開始し、発売直後の24時間で10万台の受注を受けたことは日本でも大きな話題となった。
その後は同年7月に「SU7」をベースにしたスポーツモデルのプロトタイプ「Xiaomi SU7 Ultra Prototype」を発表。同車は同年10月にドイツ・ニュルブルクリンクの北コースで4輪EVとして世界最速の6分46秒874を記録した。同じ10月にはスポーツEVの量産モデル「Xiaomi SU7 Ultra」を発表。年末には「SU7」のシャオミ創業15周年記念モデルも公開された。そして2025年5月には高級SUVである「Xiaomi YU7」も発表している。矢継ぎ早にEV新製品を送り出すその動きは、ハイエンドモデルから大衆製品までスマートフォンの新製品を次々と送り出すシャオミらしさを感じさせる。
スマートフォンからEVまでAI戦略を強化
中国の一部のシャオミストアは自動車ディーラーも兼ねており、スマートフォンなどと同じフロアに最新EVがずらりと並べられている。シャオミは「人×モノ×車」というエコシステムの構築を強化しており、もはや単なるスマートフォンメーカーの枠を超えた製品開発を進めている。そしてこのエコシステムの中核となるのが、各製品上で動作する自社開発の「HyperOS」だ。このOSは単なるプラットフォームの枠を超え、各製品間でのAI機能のシームレスな統合を実現している。
スマートデバイスと自動車の連携では、アップルの「CarPlay」やグーグルの「Android Auto」が知られている。一方テスラはこれらの外部プラットフォームを採用せず、独自開発のインフォテインメントシステムを車載ソフトウェアの中核に据えている。車内に設置した15インチ超の大型タッチスクリーン上で、車両操作・ナビゲーション・エンターテインメント操作を一体化。AIを活用した自動運転支援機能や複数カメラによる高機能なドライブレコーダーなども搭載している。
シャオミのHyperOSはテスラに近いアプローチだ。だがテスラと異なるのはスマートフォンやIoT機器まですべて同じ操作体系であるHperOSで動くことだ。つまりシャオミのEVは電気で動くだけの自動車ではなく、スマートフォンをそのまま大型化してモーターや座席を搭載したようなモデルなのである。シャオミの全製品とシームレスに連携できる、これがシャオミのEVの大きな特徴だ。

アップルやグーグルもスマートフォンOSをそのまま車載インフォテインメントシステムとして動作させることができる。だが車両本体の制御は基本的に行えない。自動車メーカーも安全性やメンテナンスを考えるとスマートフォンOSを車載システムの中核に置くことはしないだろう。そこでグーグルはAndroid Automotive OSを開発し、自動車メーカーとの協業を進めている。
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