「待てば自然に回復するは大間違い!」 心と体を蝕む≪隠れ疲労≫の正体
このチェックは、イライラ、ゆううつなど最近1か月の「自覚症状」と、身体的・精神的負担、睡眠・休息がとれているかなどの「勤務の状況」のふたつから構成され、疲労蓄積度の総合判定(低い、やや高い、高い、非常に高い)がわかります。厚生労働省の「こころの耳」というサイトですぐ判定を出せるので、関心があればやってみてください。
疲れは、心と体からの警告です。自覚症状がない場合でも、知らず知らずのうちに疲労がたまり、なかなか疲れが取れない慢性疲労の状態になったり、急に仕事への活力が低下するバーンアウト(燃え尽き症候群)の状態になったりすることがあります。風邪をひきやすくなる、アレルギーの症状やじんましんが出る、女性では生理の周期が乱れるなど、さまざまな体の不調にもつながります。
疲労とは、厳密にいえば「体を動かしたり頭を使ったりした結果、本来の活動能力が下がった状態」です。100%の電池にたとえると、使用によってエネルギーが減って20%になり、同じパフォーマンスを発揮できないイメージです。
頭脳労働は「認知資源を消費する」こと
フルマラソンを走った後に、「もう一度走って」と言われても、「もう無理!」となりますよね。頭脳労働は、肉体を使わない分、疲労しにくいと誤解されているようですが、違います。新しい作業や難しい業務、細かい作業、マルチタスク、プレッシャーのかかる業務をした後は、重い疲労を感じます。
このようなメカニズムで、体だけでなく頭も使って精神的にエネルギーを消費することを「認知資源を消費している」といいます。
認知資源とは、「日常生活で使用する注意力や認知力など、脳の処理に関して1日に使えるエネルギーが決まっていて、有限な資源である」という概念です。集中力が必要な作業や判断をくりかえすことでその資源を消費し、使い切ると疲れを感じ、ミスが増えたり衝動的な行動が増えたりします。
米カリフォルニア大学の心理学者・情報科学者のグロリア・マーク教授は、認知資源を「集中力のタンク」理論として紹介しています。
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