人生の科学 デイヴィッド・ブルックス著/夏目大訳
先端的学問を、生活や暮らしの中のストーリーに取り込んで学ぼうとする手法は、米国のほうが本家なのかもしれない。本書は、脳科学、心理学、行動経済学、哲学などが現在行き着いた新しい成果を織り込みつつ、ジャン=ジャック・ルソーばりの「理想の生き方」をかみ砕いた形で考えさせる筋立てに仕上げている。
主人公は、ハロルドとエリカという、円満な両親に育まれた男性と複雑な家庭育ちの女性。二人の誕生から、青年期、出会いと結婚、壮年期、老年期、そして最期の瞬間までをエピソード豊富にたどる。結局、二人は「満たされた幸福な人生」を過ごすことができる。節目において誰もが強いられる「無意識の選択」に成功するからだ。どの他人とどうかかわるか、感情をどう制御するかが、人生の成功において重要な要因となることも強調される。
著者はベストセラーを連発する米有力紙の硬派のコラムニスト。男女や親子関係の機微にも通じている。
早川書房 2415円
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