デジタル新語、どれだけ分かっていますか 「ドロンバタイジング」を知っていればIT通

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ワードニクは現在、新旧800万語を収録している。それぞれの単語につき、伝統的な辞書に収録されている場合はその定義と、ハフィントンポストなどのソースから引用した例文も表示する。

「(辞書編集者が)これはちゃんとした単語か、と判断するやり方はもう時代遅れだ」と、マッキーンは語る。

「いま重要なのは、(ユーザーが)この単語はどんなとき役に立つかと、自分で考えられることだ」

英語をもっと豊かな言語に

マッキーンはいま、データ分析の手法を駆使して、さらにたくさんの新語を発掘しようとしている。ブログやソーシャルメディアの投稿者は、新語やあまり知られていない語を紹介するとき、「〜ともいう」とか「専門用語では〜」といった説明を加えることが多い。こうしたフレーズを調べれば、新語が見つかる可能性が高いというのだ。

そこでマッキーンが助けを求めたのは、データ分析会社サマー・ドット・アイ(Summer.ai)だ。同社は特別な演算技術を使って、ブロガーが新語と自作の定義を書くとき使うことが多い表現上のパターン(引用符やダッシュなど)を含むネット記事や投稿をすくい上げようとしている。

Summer.aiの共同創業者で神経科学者のマヌエル・エバートは、ワードニクの手法を使えば、新語の「寿命」も簡単にわかるようになると語る。「インフォテイメント(情報娯楽番組)」のように、新語が説明なしで使われるようになるタイミングを調べれば、「新語が一般用語になるパターンを調べられる」とエバートは言う。

「すぐに市民権を獲得する単語と、いつまでたってもマイナーな単語の違いを発見できたらおもしろいだろう」

ニュー・ブランズウィック大学(カナダ)のポール・クック助教(コンピューター科学)らは、新語のなかでも、特に混成語を調べている。クックは独自に開発したソフトで、ツイッターから「ジェギンス(jeggings、ジーンズ+レギンス)」などの混成語を多数発見しており、いつか混成語だけの辞書を作りたいと考えている。

マッキーンは、「新語が増えれば、表現できる事象も増える」と語る。

「英語はネットで最も使われている言語のひとつ。その語彙がもっと豊かになるなら最高じゃない」

(執筆:NATASHA SINGER記者、翻訳:藤原朝子)

(c) 2015 New York Times News Service

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