デジタル新語、どれだけ分かっていますか 「ドロンバタイジング」を知っていればIT通

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プロジェクトの開始は11月。それまでにマッキーンは、ワードニクの収録候補となる単語を募集している。

今のところ、

「プロクラスタツイーティング(procrastatweeting=ツイッターにふけってやるべきことを先延ばしにする)」

「ドロンバタイジング(dronevertising=ドローン広告)」

「ルームネジア(roomnesia=部屋に入ったとたんに何をしに来たか忘れること)」

などの新語が集まっている。

見つからない単語はない辞書に

「どんな単語も見つかるようにしたい」と語るマッキーン (写真:Timothy O'Connell/The New York Times)

新オックスフォード米語辞典の編集者だったマッキーンが、2人の仲間とワードニクを立ち上げたのは2009年のこと。出版社で感じていた限界を打ち破るためだ。

伝統的な紙の辞書の場合、辞書編集者が新語を追跡・評価して、収録価値が高い単語を選び出す。だが、印刷物なだけに、当然収録できるスペースに限界がある。また、一定のタイミングでないとアップデートできないから、そもそも口語の進化についていくことを目指していない。

オックスフォード英語辞典(OED)は、今年9月の最新版で「ホバーボード(hoverboard)」を加えた。26年前の映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』に出てくる、宙に浮くスケートボードだ。映画中、主人公が2015年にタイムスリップしたときホバーボードがでてきた関係から、ここ1年ほどこの単語の使用頻度が急増。それがOEDの単語モニタリングシステムに引っかかり、晴れて収録に至ったらしい。とはいえ、新語の収録にはいつも数十年かかわるわけではない。「ポッドキャスト」は、誕生から4年後の2008年にOEDに収録された。

ワードニクには紙幅の限界も締め切りもないから、大量の新語をどんどん追加できる。また、データ分析の専門家だけでなく、特別なソフトウエアを使って、ブログやソーシャルメディアなどで特定の表現を含む文章を自動的に選び出している。その「どんな単語も歓迎」という網羅的なアプローチは、伝統的な辞書の「重要な単語を厳選」という姿勢とは大きく異なる。

次ページ「辞書編集者が判断するやり方は、時代遅れ」
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