今夜復活「夜もヒッパレ」伝説の演出家が語る《往年の歌手にヒットソングを歌わせるだけの番組》があんなにも輝いた納得の理由

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狩人は当時、地方回りが仕事の中心でした。でもやっぱりテレビに出だすと、どんどんあか抜けていって華も出てくる。自信も蘇ってくるだろうしね。

橋幸夫さんも最初は他人の曲なんて歌いたくないなんて言っていたんだけど、1回出て福山雅治の曲なんて歌うと、若い人たちに「見ましたよ」なんて言われるみたいで、新しいファンが増えて「菅原さん、次いつですか?」って……。そうなると番組は強い。

みんな再ブレイクしましたね。いまだに尾崎さんが Mr.Childrenを歌った動画が話題に上がりますから。

歌手にとっては毎回挑戦だったと思います。でも、無理難題をクリアしてまで、遊んでくれる人たちと仕事をしたいし、その緊張感がいい関係につながったんじゃないかと思います。そんな歌手の人たちに最高のパフォーマンスをしてもらえるように、テレビで一番と言われるくらい最高のステージを目指してつくりました。

「素敵に恥をかかせる」のがディレクターの腕

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美術セットも「ベスト10ボード」や「ステージ」を、日本テレビアートの名美術デザイナー道勧(どうかん)くんが見事に華やかに仕上げてくれました。照明にもこだわって、DJに赤坂泰彦さんを置いて盛り上げて。

画面には映りませんが、スタジオのステージ横に「VIP’s Bar」をつくってバニーガールまで呼んで、華やかな「ザッツ芸能界」の雰囲気で盛り上げていました。一番嬉しかったのは、日本にも素晴らしいエンターテイナーがいるんだということが少しでもわかってもらえたことですね。

でも、そういったエンターテイナーと安室奈美恵やSPEEDが一緒のステージに立っていた、っていうのが『ヒッパレ』のスゴいところですね。そんな新旧を三宅裕司さんがツッコんで中山ヒデ(秀征)ちゃんがボケて、うまく引っかき回してくれました。DJの赤坂くんには、前で何が行われていてもぶった切って入って次の曲を紹介するよう設定したんですが、見事でしたね。カッコよかったですね。

やっぱり出てよかったなというテレビにしたいじゃないですか。スターなのに自分の持ち歌を歌わずに他人の(今週の)ヒット曲を歌うっていうのは「恥」だと思う人たちもいると思うんですよね。だから、一番輝くステージにしてお返ししたかったんです。逸見さんが“恥”をかいてあんなにも輝いたように、“恥”もかきかたによってはカッコいい。

だから、「素敵に恥をかかせる」のがディレクターの腕だと思うんです。

菅原 正豊 ハウフルス代表
戸部田 誠 (てれびのスキマ)ライター

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とべた まこと / Makoto Tobeta

1978年生まれ。静岡県出身。読売新聞、日刊ゲンダイ、「水道橋博士のメルマ旬報」、『週刊文春』、『週刊SPA!』、『CREA』などで連載。著書に『タモリ学』(イーストプレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビえげつない勝ち方』(文藝春秋)など。ギャラクシー賞テレビ部門委員。

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