製薬会社に就職して伯父・寛に言われたこと
「田辺製薬か、しようもない会社に入ったな」
東京田辺製薬の宣伝部に入社が決まったことをやなせたかしが伝えると、伯父・寛はそう言ったという。就職先に製薬会社を選んだ理由について、やなせはこう語っている。
「愚かなことに、製薬会社に勤めれば薬を安く父にまわせるかもしれない、少しは役にたつだろう、と考えたのである」
やなせを小学生の頃から見守り続けた伯父のことだから、そんなやなせのいらぬ気遣いもおそらく薄々感じていたのではないか。医師である自分に近い業界を選んだことへの照れくささもあり、「しようもない会社」と軽口を叩いたのかもしれない。
次ページが続きます
