台湾に来た中国人配偶者「陸配」がなぜ台湾の政治的問題として浮上したのか、その歴史と現政権の思惑、そして移民・人権問題(後)

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上官乱さんがインタビューした陸配のうち、経済的に非常に厳しい境遇にいる人は4割。夫もその家族も思いやりを持って妻として迎え、経済的にも恵まれてきたという状況の人が1割。残りは夫婦関係は普通で、経済的にけっして豊かなわけではないが、自立して通常の生活を送っている人たちだという。

地政学的問題、そして移民政策の問題

「陸配が置かれている環境は、さまざまな要因が重なっています。まず両岸間の地政学的な要因です。さらには、台湾の移民政策の問題がある。そして、この社会全体には、本当の意味で外来者を受け入れる心構えができていないということです」

そして、上官乱さんはこう語る。

「移民を、台湾に多様化や国際化をもたらすエリートとみなすのか、あるいは自分たちの資源や資産を奪いに来る者とみなすのか。現在の台湾社会は、すべての移民は資源・資産を奪いに来ると考えています。移民が自分たちにもたらしてくれるものは何かといったことについて、思い至ることはありません」
 
早田 健文 在台湾ジャーナリスト、『台湾通信』代表

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はやた・たけふみ / Takefumi Hayata

1958年生まれ。広島大学大学院地域研究研究科アジア研究専攻修了(国際学修士)、1984年に台湾大学歴史研究所留学。1991年~2013年、台湾の政治・経済情報誌『台湾通信』(日本語)を発行。台湾の対外放送「自由中国之声」日本語番組アナウンサー、「台湾国際放送」日本語番組パーソナリティーとして、台湾発のラジオ日本語放送の番組を制作。

現在、インターネットラジオ「台湾通信webradio」を主宰。NHKラジオ海外リポーターも務める。各種メディアに執筆している。医薬品、健康食品、化粧品の分野を中心に、日本と台湾とのビジネスの架け橋も務めている。

著書に『台湾人の本心』東洋経済新報社(1998年)。

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