記憶力や認知症リスクとの関連も報告…その脱毛や貧血、性機能障害は「亜鉛不足」が原因かも?《具体的な症状と摂り方のコツを医師が解説》

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厚生労働省の最新の「国民健康・栄養調査(令和5年)」によれば、日本人成人の1日の亜鉛摂取量は平均で男性9.0mg、女性7.6mg。平均では足りていそうですが、調査によると、少なくとも10~30%の日本人が亜鉛欠乏状態にあると推定されています。

病院受診者の検査データ調査では、さらに欠乏率が60~90%と高く、年齢が上がるほど欠乏率が上昇することが報告されました。

忙しさゆえに、スマートフォン片手にコンビニ食やファストフードをかき込む日々。そんな生活をしている方は食事内容に気をつけないと、知らず知らずのうちに亜鉛不足に陥るリスクがあります。この傾向は、若い世代ではいっそう顕著です。

亜鉛摂取で記憶力がUP

では、亜鉛が足りないとどのような問題が起こるのでしょうか。

亜鉛は体のあらゆる組織に含まれるミネラルで、特に脳で重要な役割を果たしています。

たとえば、記憶や学習の中枢である海馬では、亜鉛が神経細胞同士の情報伝達の仕組みに関わり、情報記憶の定着を助けます。不足すると学習能力や記憶力、集中力が低下する可能性が示唆されています。

アメリカの高齢者を対象にした最近の研究では、1日の亜鉛摂取量が12mg以上の人は、8mg未満の人に比べて認知機能テストの成績が最大14%高かったと報告されました。また、イギリスの大規模調査では、亜鉛サプリメントを摂っていた人の認知症発症リスクが、約16%低下していました。

さらに、ブラジルの臨床試験では、軽度の認知低下がある肥満女性が12週間にわたり亜鉛を毎日摂取した結果、記憶力テストのスコアが平均11%改善したと報告されています。

また、近年の研究では、うつ病の患者さんでは血液中の亜鉛濃度が低い傾向が報告されており、亜鉛の補充がストレスや抑うつ症状の改善効果につながる可能性も指摘されています。

実際、亜鉛サプリメントの利用で抑うつ症状が最大3割程度も軽減し、亜鉛摂取量が多い人ほど将来的なうつ病リスクが低かったという論文も発表されています。

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