記憶力や認知症リスクとの関連も報告…その脱毛や貧血、性機能障害は「亜鉛不足」が原因かも?《具体的な症状と摂り方のコツを医師が解説》

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市販のマルチミネラルや亜鉛単独サプリには、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などさまざまな形態がありますが、どれが特に良いという結論はまだありません。いずれも上手に使えば摂取量を手軽に増やせます。

欠乏の度合いが強い場合は、医療機関での処方薬による治療も可能ですので、先に挙げたような症状がある方は、医師に相談してみるといいでしょう。

ただし、摂りすぎはよくありません。亜鉛では過剰摂取によって健康障害が起こることもあるからです。1日の上限量は成人男性で40~45mg、女性で35mgとされています。サプリなどで大量摂取すると、銅欠乏や鉄欠乏、胃腸障害などを招く可能性があるため、普段の食事プラスαの補助程度にとどめましょう。

サプリ服用時は、医師や薬剤師と相談しながら、定期的に血液検査などでモニタリングできると安心です。

亜鉛に注意した健康習慣を

亜鉛についての知識を持つことは、健康のための自己投資にもつながります。

歴史的にも亜鉛の重要性は徐々に認識されており、1960年代に人の亜鉛欠乏症が初めて報告されたあと、飢餓や動物性タンパク質不足で成長障害や免疫不全を起こすという研究が世界で相次ぎました。

その後も、学者たちは数百種類もの酵素が働くために亜鉛が必要であることを明らかにし、世界保健機関(WHO)も乳幼児の下痢治療に亜鉛補給を推奨するなど、亜鉛の健康効果は国際的に注目されています。

日本では伝統的に食養生が大切にされてきましたが、現代は科学的データに基づいた栄養知識が求められています。亜鉛などミネラルが脳や体調に与える影響を理解しておくとよいと思います。

健康は最大の資本です。風邪をひきやすい、集中力が続かない、味覚が鈍っている……そんな亜鉛不足のサインを見逃さず、「亜鉛が足りているかな?」と、一度立ち止まって食生活を見直してみてください。

そのうえで、食材選びやバランスの良い食事、そして必要に応じたサプリ活用で、自分のパフォーマンスを支える土台を整えましょう。

谷本 哲也 内科医

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たにもと てつや / Tetsuya Tanimoto

1972年、石川県生まれ。鳥取県育ち。1997年、九州大学医学部卒業。医療法人社団鉄医会ナビタスクリニック理事長・社会福祉法人尚徳福祉会理事・NPO法人医療ガバナンス研究所研究員。診療業務のほか、『ニューイングランド・ジャーナル(NEJM)』や『ランセット』、『アメリカ医師会雑誌(JAMA)』などでの発表にも取り組む。

 

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